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性犯罪厳罰化改正刑法公布1年 性被害、相談できず 心の傷、後遺症に苦しむ

 性犯罪を厳罰化する改正刑法の公布から6月23日で1年。被害者の告訴がなくても加害者を起訴できる「非親告罪」化などが実現したものの、被害者が心的外傷(トラウマ)から誰にも相談できず、警察や支援団体につながりにくい実態は変わらない。専門家は「支援体制の充実とともに、その網から漏れる被害者もいることを社会は認識するべきだ」と訴える。

 「汚れた自分を知られるのが怖くて…」。道内の20代女性は中学生の頃、同級生3人から性暴力を受けた。今も家族や交際相手、支援団体に相談できずにいる。「相談窓口の存在は知っている。けれど、話そうとするだけで体が震える」

 教室で被害を受けた。殴られて気が動転し、抵抗できず「恐怖の記憶」が焼き付いた。1年間不登校になり、担任や家族には「いじめられた」とだけ言った。兄弟が多く親に心配をかけたくなかった。「『私は大丈夫』と平常心を一生懸命装うことが、被害の記憶に対する唯一の抵抗だった」

 道と札幌市が運営するワンストップ支援センター「性暴力被害者支援センター北海道(通称・さくらこ)」は2012年10月開設。延べ相談件数は過去最多だった14年度の389件から、17年度は248件と4割減った。相談者は主に30~40代で大半が10代での被害。多くがフラッシュバックなど後遺症に苦しむ。

 昨年6月の刑法改正で、性犯罪の非親告罪化に加え、親や養親などの「監護者」が立場を利用して18歳未満の者に性的行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰する「監護者性交等罪」などを新設。ただ被害を認識し、トラウマを乗り越えて証言可能になるには長い年月がかかる場合も多い。

 小学高学年の時、義父から自宅で下半身を触られた札幌市の女性(40)は「当時は違和感だけで被害と思わなかった。嫌悪感を出すと家族が壊れると思った」。義父の「母さんに言うなよ」という言葉が今も耳から離れない。「誰かに相談して何か解決するか、と内向きになってしまう」

 さくらこへの相談も身内や知人からの性暴力が約4割を占める。小野寺るみ子センター長は「子どもが性暴力を被害だと認識できないケースも多く、支援につながらない被害者は増えている」と危機感を強める。

 1月の警察庁調査では、20歳以上の性犯罪被害者(回答169人)の52%が初めての被害の際「どこにも(誰にも)相談していない」と回答。被害者支援に取り組む日笠倫子弁護士(札幌)は「警察や支援機関への相談は被害に向き合うことを要求され、被害者はトラウマ再燃の恐怖を抱える。相談することすら難しいと社会全体が理解し支援策を考えなければ」と話す。(下山竜良)

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