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名乗れぬ土壌生む差別 アイヌ民族、道の把握数1・3万人に減少

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 〈解説〉道のアイヌ民族の生活実態調査で把握された昨年のアイヌ民族の人数は、約1万3千人にとどまり、調査の度に減り続けている。背景には個人情報の保護意識の高まりに加え、今も根強く残る差別が、自らアイヌ民族と名乗ることに二の足を踏む土壌を生んでいる。

 道が45年前から行う調査で把握したアイヌ民族の人数は、前々回の2006年まで2万3千~2万4千人台で推移。ところが、前回の13年は約1万7千人に激減し、今回さらに減った。

 道はアイヌ民族への支援策として、高校や大学への進学奨励費や農林漁業対策費など関連予算を毎年計上。生活向上に一定の効果はあったとみられるが、10年前は約20億円だった予算額が、昨年度は約10億円と半減。

 アイヌ民族の生活相談員は「道の財政難は分かるが、アイヌへの支援が打ち切られている」と感じる。

 一方、「日本は単一民族国家」「アイヌ民族なんて、今はもういない」と民族の存在を否定する差別的言動も街頭やネット上で増幅。北海道アイヌ協会幹部は「こうした差別が、出自を打ち明けることをためらわせている」と指摘する。

 専門家の間では「民族の血を受け継ぎながら、調査対象から漏れた人は数万人以上」との見方がある。

 生活格差が残るのに支援の規模が縮小され、民族としての存在は明らかなのに否定される理不尽。問題への無理解が、アイヌ民族の実態把握を困難にしているのではないか。行政だけでなく私たちにも、数字に表れない人びとに寄り添う姿勢が求められる。(村田亮)

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