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<白鳥大橋かいわい>室蘭湾「夢の陸路」20年 アクセス向上 工場夜景に彩り

 室蘭湾に架かる東日本最大級のつり橋、白鳥大橋(全長1380メートル)が13日、開通20周年を迎えた。1998年の開通から鉄のまちの輸送を支え、交通の混雑緩和やアクセス向上に寄与してきた。工場群と織りなす夜景が人気となり、室蘭観光のシンボルにもなっている。

 白鳥大橋は自動車専用で、祝津町と対岸の陣屋町を結ぶ。室蘭開発建設部によると、1日の車の通行量は約1万1千台。開通により、伊達市や市内白鳥台方面から蘭西地区へのアクセスは12分短縮し、経路の分散によって市内の交通混雑も緩和された。

 橋のたもとの風景も変わった。開通の年、白鳥大橋記念館・道の駅「みたら室蘭」がオープンした。その近くには2000年にパークゴルフ場、05年に「むろらん温泉ゆらら」が完成し、一帯は観光拠点になっている。


 白鳥大橋は、近年人気の工場夜景にも貢献している。17年秋には全ての照明の発光ダイオード(LED)化が完了し、環境に優しい光で市民や観光客を楽しませている。

 建設は、室蘭開建初代部長の故猪瀬寧雄(しずお)氏(元道開発庁事務次官)が55年、室蘭港を横断する大橋構想を提唱したのが発端となった。当時、高度経済成長期を前に室蘭市は、12万人に上った人口増への対応と、道内各地と室蘭港を結ぶ効率的な貨物の陸路輸送が課題だった。

 70年代のオイルショック、地元鉄鋼業の生産縮小、70年の16万2000人(現在約8万5000人)をピークにした室蘭市の人口減少などが、建設の逆風となった。しかし、地元の熱意が実り85年、着工にこぎつけた。総工費約1千億円の巨費を投じ、完成まで構想から43年、着工から13年の歳月を要した。

■橋づくり技術と知恵 強風対策 風受け流す仕組みに/ケーブル設置 ミリ単位の誤差許されず

 白鳥大橋は国内の積雪寒冷地では最大規模の橋で、強風による揺れを抑え、着雪を防ぐ最先端の技術を結集した。

 強風対策では、橋の路面部分となる橋桁の両横に、飛行機の翼のような部材「フェアリング」を取り付け、風を受け流す仕組みにした。二つの主塔の柱も、風を流すため八角形にした。いずれも模型で風洞実験を繰り返し、最大瞬間風速67メートルの強風にも耐えられる。

 室蘭開建の職員として工事に関わった、国立寒地土木研究所・寒地基礎技術研究グループ長の西本聡さん(58)は「予想外の事態もあった」と振り返る。

 トラブルは橋桁の運搬で起きた。両岸をつなぐ橋桁は61個に分割して製造し、東京などで台船に積み、タグボートで引っ張って海上を運んだ。そのうち一つの台船のロープが切れて漂流し、橋桁が損壊した。


 橋桁はそれぞれ微妙に形状が違うため、作業は数カ月遅れるとの見方が強かった。担当者たちは代わりの橋桁の製造を急ぐ一方、橋にかかる力をシミュレーションし直して、設置する橋桁の順番を入れ替えて工事を急いだ。その結果、遅れを1カ月に抑えた。西本さんは「橋桁がつながった日、橋の両側で関係者が万歳三唱した」と懐かしがる。

 つり橋は、2本の主塔と橋の両岸に造ったコンクリートの巨大な塊「アンカレイジ」に連なるケーブルで、橋自体を支える。アンカレイジは地上部分だけで高さ31メートル、縦46メートル、横33メートル。地中部分は深さ28メートルに及び、難しい工事だった。


 橋をつるすケーブルは、直径5・2ミリのピアノ線127本を一束にし、52束を1本として両岸に張り渡した。一束でジャンボジェット2機分(約440トン)、ケーブル1本で16両連結の新幹線25編成をつり上げることができるという。

 ケーブルは日光に当たって熱を持つと膨張するため、気温の変化が少ない夜に設置作業を行った。手元ではミリ単位の違いも、全体では数センチの誤差になるため、精度の管理は難しかった。

 室蘭開建職員だった札幌開発建設部・岩見沢道路事務所長の清見博英さん(59)は「当時は細かな技術を持つ職人がいた。近年、巨大建造物の建築が減っているが、技術を伝承していく必要がある」と話す。

 須田幹生が担当し、7月に本編を掲載する予定です。

■撮影の森大輔さんに聞く 鍋島山頂上 お薦めスポット


 白鳥大橋は天候や時間帯、風、写真の構図で、さまざまに表情を変えます。室蘭にとって、まさにシンボルだと感じます。

 お薦めの撮影スポットは、港南町と祝津町にまたがる鍋島山の頂上です。山を登る必要がありますが、標高140メートルの高さから、工場群を背景に祝津ランプから延びる白鳥大橋をきれいに撮影できます。

 夜景を撮るなら、日没の1時間ほど後、日がやや残っている時間帯がいい。空や街の色、山の形など背景が分かる程度のほうが、さまざまな光を写真に写し込むことができます。

 白鳥大橋の夜景を直接見るのもいいものですが、いろいろな光を取り込んだ作品を味わえるのが写真の良さだと思います。

 地元の魅力を発信するために、フェイスブックに「『室蘭工場夜景+α展』じっこういいんかい」というページを設け、写真を投稿しています。

 「かつて住んでいた」など室蘭と縁のある人や、夜景が好きな人が見てくれています。フェイスブックが縁で夜景の撮影会を開き、案内したこともあります。

 室蘭は白鳥大橋をはじめ、工場夜景や自然など見どころが多い。会員制交流サイト(SNS)などを通じて、室蘭の魅力を多くの人に知ってもらいたい。

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