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<金曜カフェ あのころこれから>アナウンサー木村洋二さん 休養を経て完全復活 不器用なりに木村らしく

 STVの名物アナウンサー・木村洋二さんが、2年近い休養を経て完全復活を果たした。2月末に人気番組「1×8(いっぱち)いこうよ!」(日曜午後4時55分)に復帰、4月からは同僚の明石英一郎アナとのコンビで「洋二と明石の無口な二人」(STVラジオ、月曜―金曜正午)も始まった。「異色の」「型破りな」という形容詞がふさわしい仕事ぶりについて、休養開けの心境とともに聞いた。(編集委員 古家昌伸)


 「あーた!」。18年間、二人三脚で「1×8」を盛り上げてきた俳優の大泉洋さんがポロポロと涙をこぼした。木村さんは2016年に体調不良で休養に入った後、昨年後半からラジオなどに少しずつ出演してきた。だが「1×8」への復帰はサプライズ。ロケ先の名古屋になぜか甲冑(かっちゅう)姿で表れた「相方」に、大泉さんは何度も「あーた」と呼び掛けては絶句した。

 「洋」の字つながりで結成した番組内ユニットの「YOYO’S(ヨーヨーズ)」は、大泉さんが「北海道で洋と言えば木村洋二」と共演を希望したことを機に生まれた。開始当時は、収録中に木村さんが夕方の情報番組「どさんこワイド」出演のため現場を離れ、大泉さんが後を任される場面もあった。ところが今は彼のスケジュール調整に一苦労。「あれよあれよと言ううちにスターダムに乗ってね。うれしいですけど、収入の格差はどんどん広がってます」と笑わせながらも、人気俳優の活躍に目を細める。

 ひょうひょうとした語り口が身上だが、実は休養中は焦りを感じていた。復帰を待つ視聴者に応えたい思いの一方、「もう戻って来ないだろう、と思われているのでは」と落ちこむ日もあった。それだけに大泉さんの涙には感激した。「でも僕は泣かなかった。うれしすぎてね。だから彼に“クール&ドライ”なんて言われるんですが」

 山口県出身。大学卒業後、STV入社に伴い北海道へ来た。「平均点で大学を出て、オーディション番組にも出たことがない、何の前評判もない男を、テレビやラジオの前のみなさんが比較的早く受け入れてくださった」と感謝する。人気の理由の一つに「1×8」をはじめ、番組で仮装や女装をするなど体当たりの仕事ぶりがある。「着たことのないものを着てみるのも楽しいですよ。いじられてなんぼ、というのは自覚してます。会社の仲間から幾度となく『おまえの仕事は何だ』と言われてます。よくここまで雇ってくれたなあ、と思います。会社のおかげです」と、局アナらしいセリフも出てくる。

 サービス精神も十分。「今日は話すことを用意してきておりまして」とメモを取り出す。

 キー局の番組に出た際、タレントのおすぎさんに「バカが背伸びするとみっともない」と言われた。「テレビの前の人たちは『アナウンサー=おりこうさん』とは思っていない。知らないことは聞かないと、バカの上塗りになるという意味でしょうか。仕事を始めて2年目のころで、『やるわね、あなた』ぐらい言ってくれるかと思ったんですが。衝撃でした」。その後、おすぎさんと2人でラジオ番組を持つなど付き合いは続いた。十勝管内足寄町出身の松山千春さんの言葉も忘れられない。10年ほど経験を積んだころ「会う人会う人に、アナウンサーらしくないって言われるんですよ。もうへこみます」とこぼすと、「いいんじゃないか、木村らしいんだから」と松山さん。

 「そんな人たちの言葉に救われて、仕事を続けてきた」と振り返る。でも、この秋で59歳。今度は後輩にバトンを手渡す時期だろう。「なかなか自分が出せない」と相談を受けることもある。「一生出せないんじゃないかな、って答えるんです。じゃあ、明日テレビの前で本当に怒ってみてと言われたら、僕もできないですから」

 大泉さんの木村評に「ザ・不器用」というのもある。「男性アナには珍しく、採用試験の面接でスポーツにまったく興味ないと答えてますから。よく会社に入れたね、と言われますが、すぐばれるようなうそはいけませんよね」。周囲が安心を覚えるのは、不器用なりに自分をさらけ出そうとしているためかもしれない。

 これからはどんな仕事を?

 「どうなんでしょう。消去法で言えば…東京五輪で実況…はしてないでしょうねえ。スポーツ苦手ですから。人生の先輩には、若い人と付き合うといいと言われます。街に出て、若者たちに、はやってるものを聞いたりとか。刺激を受けていたいんですよ。そういう感覚を自分なりの表現方法で、しゃべらせていただく機会があれば、ラジオでやってみたい。もちろんSTVラジオで。消去法と言いながら具体的に言ってますねえ」

 <略歴>きむら・ようじ 1959年下関市生まれ。東洋大法学部を卒業後、82年にSTV入社。ラジオの長寿番組だった「アタックヤング」や、テレビの「どさんこワイド」「1×8いこうよ!」などに出演してきた。現在は編成局専任局長。江別在住。

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