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G7サミット 無力化を食い止めたい

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 先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は、貿易を巡る米国と、日本など他の参加国との「1対6」の対立を解消できなかった。

 出せるかどうか危ぶまれた首脳宣言は何とか取りまとめられ、昨年に続いて「保護主義と闘う」との文言が盛り込まれた。

 ところが、トランプ米大統領はサミット終了直後に「首脳宣言を承認しないよう指示した」とツイッターで表明、合意を覆した。

 今年のサミットは、米国が他の6カ国から輸入する鉄鋼・アルミニウムに一方的に高関税を課すという異常事態の中で開かれた。

 首脳同士の直接対話による歩み寄りが期待されたが、亀裂はむしろ深まったとさえ言える。

 民主主義を軸とした普遍的な価値観を共有するG7の枠組みが崩れれば、国際社会にとって大きな損失になる。参加国にいま一度、結束への努力を促したい。

 それにしても目に余ったのがトランプ氏の身勝手な振る舞いだ。

 関税措置の是非で対立するカナダを挑発する一方、ウクライナやシリアへの干渉で国際社会から非難を浴びるロシアをG7に復帰させるべきだと唐突に主張した。

 最終日は途中退席し、女性の社会進出に関する協議や気候変動に関する協議を欠席した。

 極め付きが、議長であるトルドー・カナダ首相の発言への不満から、いったん合意した首脳宣言の「不承認」を指示したことだ。

 首脳宣言は、米国が離脱したパリ協定に基づく脱炭素化、イラン核合意に基づくイラン核開発の阻止について6カ国で推進することを明記せざるを得なかった。

 とはいえ、あらゆる課題が「1対6」の構図のわけではない。

 北朝鮮に対して非核化と拉致問題の早期解決を求めることについてはG7として一致をみた。

 トランプ氏は感情的に首脳宣言に背を向け、結果として対北朝鮮におけるG7の後押しをも否定した形で米朝首脳会談に臨むことになった。あまりに刹那的で危うい言動と言わざるを得ない。

 米国第一主義に凝り固まったトランプ氏に振り回され、G7は無力化の危機にさらされている。

 G7は、自由貿易や環境保護、女性や弱者の権利保護などの国際ルールを形成し、中国など価値観の異なる国にも広めてきた。G7が求心力を失えば、結局は米国の影響力も低下しかねまい。

 日本を含む6カ国は今後も連携し、G7の意義をトランプ氏に訴え続ける必要がある。

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