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<採用戦線異状あり>4 人材視線は外国人、主婦

 農機販売・ヰセキ北海道(札幌)の採用担当、伊藤知行さん(44)は29日から韓国・ソウルへ飛ぶ。「韓国の来春卒学生を面接します。日本人と同じ新卒正社員として数人は採用したい」

 書類選考した学生とソウルで会い、日本語レベルをチェック。通過した韓国人学生は役員最終選考に招く。就労ビザ申請など煩雑な手続きがある中、総額200万円を投じ外国人選考に踏み切った背景には、もはや国内新卒市場に頼れない現実がある。

 今春新卒採用として、昨春に11人を内定したが、入社したのは1人だけ。昨秋に急きょ2人を追加内定した苦い経験がある。「農家と深く付き合う仕事は今の学生に響かない」。海外メーカーと商談できる英語が堪能な学生も欲しいが、国内では期待薄。まだ見ぬ韓国人学生に期待を寄せる。

■腕見込み正社員に

 外国人、主婦、そしてシニア―。新卒の採用難に直面する道内企業が、従来にはなかった人材を生かす戦略にシフトし始めている。

 「勤務時間は希望通り。子供がいるので融通を利かせてもらった」。5月から総合商研(札幌)の地域情報誌「ふりっぱー」で広告営業を務める土生(はぶ)真衣さん(34)は、子供2人のお母さん。午前9時から午後2時までのパート勤務で、新規開拓のため、自宅のある札幌市西区周辺の飲食店を回る。

 同社は昨年11月から、営業職経験のある主婦らの採用を進める。これまで若手社員ら14人が担っていた新規開拓分野を順次、主婦主体のパートに移管し、社員には難度の高い別の仕事に取り組ませる。新卒採用増が難しい中、若手人材を最大限に生かす戦略だ。

 主婦を正社員採用する企業も出てきた。3児の母の武田友子さん(39)は、2年前から戸建てリフォーム設計のアルティザン建築工房(札幌)で正社員として働く。かつて別のハウスメーカーで設計技術を磨いたが、育児のため退社。腕を見込んだ新谷孝秀社長が正社員ポストを用意した。

 事務や技術職にも、経験を持つ主婦を戦力に加え、同社の業績拡大を下支えする。札幌で5月開かれた主婦対象の採用イベントでも、同社ブースに14人が集まった。新谷社長は「即戦力に近い。新卒より確実に力になる」と話す。

■経験生かすシニア

 「60歳近い私で本当に良いのだろうか」。昨年7月、マックスコム(東京)が運営する札幌のコールセンターで、斉藤敬二さん(59)は未経験の仕事に就いた。営業や建設の現場で働いていたが、体を壊し内勤仕事を探していた。

 かつて、コールセンターの主力は20~30代の女性契約社員だった。求人難の中、業務が増え人員を倍増する必要に直面したとき、目を付けたのがシニア人材だった。昨春1割に満たなかったこのコールセンターのシニア人材は、今は全体の半数まで増えている。

 当初は不安だった斉藤さんも、経験を積んで自信が付いてきた。「最近はクレームでも最後に『ありがとう』って言ってもらえる。対応の丁寧さはシニアならではの強みかな」

 道内の生産人口は先細り。企業が従来の新卒一括採用だけに頼り続けられないことは明らかだ。新たな人材の開拓は今後、すべての企業が直面する課題でもある。=おわり=
(宇野沢晋一郎が担当しました)

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