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第8部 札幌スイーツ物語(1) 父の背追う兄弟の挑戦

 良質の牛乳や小麦、果物などスイーツの材料の宝庫・北海道。その中心・札幌には人気菓子店がひしめく。第8部(4回)は、全国屈指のスイーツ激戦区とも評される札幌で、理想のスイーツを追求する人々を追う。

■コンペで優勝 

 道央圏の洋菓子店など140社や札幌市、札幌商工会議所が参画する「スイーツ王国さっぽろ推進協議会」主催の新作洋菓子コンテスト「さっぽろスイーツコンペティション」は今年13回目。応募70作からグランプリに輝いたのは「パティスリーフレール」(札幌市白石区本通16北)の古田浩真さん(40)だ。

 店は札幌を中心に16店舗ある焼き肉チェーン「徳寿」の経営で、徳寿で出すデザートの製造工場に併設。それだけに古田さんは「一般のお菓子屋に負けないケーキを作りたい」と7年前からコンペに挑み続けてきた。

 受賞作は「さっぽろ抹茶チーズ~お豆とともに」。抹茶パウダーをまとった5センチ四方ほどの角形で、口の中で道産マスカルポーネチーズと生クリームの滑らかな生地がさっと溶ける。和三盆糖でまろやかな甘みに。小豆やウグイス豆など5色の道産豆を使い食感と彩りを添える。

 事前に一般公募したアイデアをパティシエが自分流に練り上げるのが、このコンペのルールだ。古田さんが3月、受賞作発表会で初対面した発案者の札幌西岡南小6年、山本百椛(ももか)さんは、受賞作を二つも食べたが「実はケーキが苦手」と母親から聞き、驚いた。応募した絵は「苦手な自分でも食べられるものを」とイメージし描いたという。「まるで魔法のケーキね」。親子の会話と笑顔にパティシエを目指した原点がよみがえった。

 学校の勉強に価値を見いだせず高校を1年で中退。「自分は何がしたいのか」。ふと頭に浮かんだのは、洋菓子店の勤務経験もある和菓子職人の父義浩さん(64)が幼い頃に作ってくれた誕生ケーキだ。「裕福じゃなかったが、ケーキだけはどこの家にも負けていなかった」。誕生会で招いた友達が2段重ねのケーキに大喜びした。ケーキが人を幸せにする―。そんな瞬間を何度も見てきた。

 菓子製造販売道内大手「もりもと」(千歳)に入った。製菓学校を出てもいないし、製菓衛生師などの資格もないゼロからの出発。中卒で月給は手取り10万円ほど。「食べていくのもやっとだった」が、先輩の背中を見てがむしゃらに働き、腕を磨いた。

 2008年、スイーツ部門を立ち上げたばかりの徳寿に誘われた。今は「工場長」として7人の同僚と毎日約25種類600個ほどのケーキを作る。「パティシエに資格はいらない。心があればいい」。食べた人たちの笑顔が、その証しにほかならない。

■洋菓子店「パティスリーフレール」
 札幌市白石区本通16北(徳寿白石店内)、(電)011・598・9000。営業時間は午前11時半~午後11時(金、土曜は午後11時半、日曜祝日は同11時まで)。無休。さっぽろスイーツコンペティションの受賞作品「さっぽろ抹茶チーズ~お豆とともに」(454円)のほか、定番のイチゴのショートケーキ「ボリュームショート」(432円)や「熊本栗のモンブラン」(432円)など常時25種類前後のケーキが並ぶ。ランチの時間帯で売り切れる商品もあるため、購入は早めの時間がお薦め。一部の商品は徳寿の他店舗でも食べることができる。ホームページ(HP)はhttps://www.tokuju.com/shop/freres/

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