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自転車ひき逃げ 道内で相次ぐ 多額の賠償「思わぬ代償」

 道内で4月以降、自転車が歩行者に重軽傷を負わせ、走り去る事件が少なくとも5件相次いだ。4件は被害者の通報で発覚し、2件は運転者がひき逃げ容疑で摘発された。道内の自転車によるひき逃げ事件の摘発は、過去5年間(2013~17年)で計4件。道警は「自転車であっても『逃げ得』は問題との意識が被害者に高まった」とみる。ただ、自転車の運転者は「急いでいた」と説明するなど事故を起こしたとの意識が希薄な面も。自転車による事故は夏から秋が最も多く、道警は注意を呼び掛ける。

 「自転車のひき逃げが相次いでいると知り、加害者が逃げたことをうやむやにはできないと思った」。札幌市内の歩道で5月上旬、男子高校生の自転車に衝突され、70代の妻が軽傷を負った男性は、警察に通報した経緯をそう語った。

 高校生は保護者と一緒に道警に出頭し「少しぶつかっただけと思ってしまった」と説明。夫婦が処罰を求めず、摘発はされなかった。男性は「通報することで逃げずに助ける義務があると伝えたかった」と話す。

 道警によると今年は4、5月に札幌と函館で計5件の届け出があり、小学生の男児ら5人が重軽傷を負った。札幌市内の歩道で4月下旬、20代の女性が10代の少年の自転車に衝突された事故は、女性の両親が逃走を知って道警に通報した。

 捜査関係者は「これまでにない動き。従来は沈黙していた被害者も届け出をするようになった」とみる。

 自転車は道交法で「軽車両」に分類される車の一種。事故を起こした運転者がけが人の救助をせず現場を去れば、道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われ、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されるが、加害者の認識は低い。

 札幌市内の歩道で4月中旬、小学生の男児に重傷を負わせた大学生の男性は、同容疑などで道警に逮捕された際、「アルバイト先に急いでいた。子どもが泣いていると分かっていたが、どうしたらいいか分からなかった」と逃げた理由を説明したという。男性は不起訴処分となった。

 自転車は自動車と同程度の被害を相手に与える可能性がある。交通事故を分析する企業「交通事故鑑定Raptor(ラプター)」(群馬県)によると、一般的な自転車でも時速20キロで衝突すれば、相手に与える衝撃は「力士の立ち会いと同程度」。時速40キロなら軽自動車に匹敵するという。

 重大な被害を与えた場合、多額の賠償を求められることも。神戸市で男児が自転車で女性をはね、重い後遺症を負わせた事故は、保護者に約9500万円の賠償が13年7月に命じられ、保護者はその後、自己破産したという。

 道は4月施行の自転車条例で、保険会社などが販売する自転車向け保険への加入を運転者の努力義務としたが、「保険の必要性はまだ十分に周知が進んでいない」(担当者)。

 道警によると、過去5年間の自転車が主原因の人身事故は273件。違反の種類は一時不停止が72件と最多で、脇見運転の42件と続く。世代別では10代が85件と全体の3割を占める。

 過去5年間の月別の事故件数は7、9月が各47件と最多。道警は学校や街頭での啓発に力を入れており、「自転車の運転を軽く考えると思わぬ代償を背負う。交通ルールを守り、保険に加入するなど運転者としての責任を果たしてほしい」(交通部)と訴える。(菊池真理子、山中竜之助)

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