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馬券販売17年度最高 ばんえい安定経営模索 生産頭数や馬主 減少に危機感

 【帯広】帯広市が主催するばんえい競馬は、販売額、入場者数とも堅調に推移している。2017年度の馬券販売額は219億9千万円と過去最高を記録し、入場者数も28万1632人で過去2番目。旅行客が集う十勝を代表する観光スポットに成長した。ただ、好調の陰で、生産頭数や馬主の減少、厩務(きゅうむ)員の高齢化といった課題が浮上しており、安定運営に向け、新たな取り組みが求められている。

 「ばん馬のたくましさは、サラブレッドとは違った魅力がある」。18年度のレース開幕日の4月20日、札幌市から来た男性(65)はパドックに熱い視線を向けた。初日の馬券販売額は07年度以降の最高額を更新し、前年度より約2割増の1億7814万円に上った。

 帯広と岩見沢、旭川、北見の4市が共同開催していた公営ばんえい競馬は、07年度から帯広市の単独開催となった。しばらく経営難が続いたが、インターネット活用に力を入れた市は、13年から日本中央競馬会(JRA)の馬券販売を始め、収益向上に努めた。競馬場内に飲食店などを集めた商業施設「とかちむら」を開設。競馬開催と連動し、グルメイベントなど、さまざまな催しを打ち出した。

 一連の取り組みが奏功し、13年度に約9900万円の黒字を達成。以後も馬券販売額は伸び続けた。市は18年度、好調な経営を背景に、老朽化した厩舎(きゅうしゃ)2棟を改築。調教師や騎手、厩務員の報償費を増額する。

■厩務員高齢化

 だが、運営は好調に見えるものの、将来は「全く楽観できない」(帯広市幹部)との声が漏れる。特に深刻なのは人材不足。厩務員数は07年度の161人から18年度は95人へ減少。高齢化も進み、18年度は60代以上が26・3%となった。

 「馬が好きで、憧れて働き始めても、環境になじめず、すぐ辞めていく人もいる」。かつて厩舎で働いた男性は打ち明ける。夜明け前から馬の世話が始まり、休みも不規則。複数の関係者によると、厩務員の待遇は馬主と調教師間で取り決めるため、厩舎によって大きく差があるという。

 生産頭数も減少を続け、ばん馬を含む道内の農用馬の生産頭数は、15年958頭と、07年から半減した。生産者でつくる十勝馬事振興会(帯広)の会員も約40年前の設立当初から比べて3分の1程度、約150人に減った。佐々木啓文会長は「生産頭数は下げ止まりつつあるが、油断はできない」と危機感を募らせる。

 加えて、馬主である一般社団法人「ばんえい競馬馬主協会」(帯広)の正会員は、07年度の501人から18年度は287人に減った。同協会の小坂良孝事務局長は「馬主の高齢化も進み、好調な今こそ次の手を考えなければ」と強調する。

■楽天と振興策

 市は昨年度、インターネット馬券購入サイトを手掛ける楽天の関連会社と共同で生産者向けの賞を創設。本年度は同社の利用者を対象に生産牧場見学ツアーを企画し、「将来の馬主に」と期待をかける。

 市ばんえい振興室も本年度は「大幅に収入が増える要素はない」とみて、ネット馬券購入者の多くを占める関東、関西に情報発信し、新たなファン層を掘り起こす。「ばんえい競馬振興連絡協議会」(川田章博会長)は東京都内で初めて一般市民向けにPRイベントを開く予定だ。帯広市の田中敬二副市長は「市民に負担はかけられない。安定経営に向けて長期的な視点で展開していく」と話している。(帯広報道部 小坂真希)

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