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絵本で問うクマとの共生 札幌の画家・鈴木さん出版 射殺された1頭思い描く

 札幌市西区の画家鈴木麻衣子さん(33)が、ヒグマが生息する札幌の森を舞台にした絵本「いつもおまえの気配をさがしていた」を出版した。クマの出没が多い西区西野地区で生まれ育ち、クマを身近に感じてきたことが創作の原点となった。やわらかな文体とボールペン画で、クマと人の共生のあり方を問いかけている。(石川泰士)
■古里、西野の森舞台

 主人公は、都会から古里の森に帰ってきた「わたし」だ。耳をかすめる風、こけむした木の切り株、葉の上で休む虫や森を歩く大きなクマ。豊かな自然に触れる感動や動植物の命の営みを、黒のボールペン画に文章を添えて描く。

 鈴木さんは西野地区に生まれ、市内の高校をへて東京の専門学校で絵画を学んだ。21歳で帰郷し、実家の裏山にある公園にスケッチに通い始めた。「東京に出て初めて、古里の自然のすごさに気付いた。時間をかけて描きたいと思った」

 公園はクマの出没エリアだった。警戒のため、スケッチ中にはラジオを大音量で鳴らした。目撃情報も小まめに調べた。

 通い始めて半年後、鈴木さんはいつものスケッチ場所でクマのフンを見つけた。「ここに来たんだ」。恐ろしさと同時に、親しみのような不思議な感覚を覚えた。間もなく、クマは射殺された。「彼はこの森で何年も生きてきたのに」。消えた「気配」を思いながら現在まで12年間、公園に通い続ける。絵本は、この1頭への回想シーンで終わる。「この森を描き続ける上で、とても大切な存在です」

 絵本は札幌市豊平区の出版社「かりん舎」から発行された。変型A4判36ページ、1080円。同市中央区南1西2の書店「書肆(しょし)吉成」(IKEUCHI GATE6階)で販売している。併せて、この絵本の原画展も手稲区の書店「ちいさなえほんやひだまり」(新発寒6の5)で6月30日まで開かれている。無料で、月曜と金―日曜の午前10時~午後7時。問い合わせは同店(電)011・695・2120へ。

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