PR
PR

アイヌ新法 振興策を手厚く確実に

[PR]

 政府のアイヌ政策推進会議が、2020年までの制定を目指すアイヌ民族に関する新法に、地域振興や産業振興に取り組むことを明記する方針を決めた。

 文言を盛り込むことで、アイヌ関連施策に法的根拠を持たせ、関連予算を含めた支援を安定的に行うのが狙いだという。

 文化、福祉の一部に位置づけられていたアイヌ政策に、地域・産業振興が加わったことは、一歩前進と言えよう。

 過去の同化政策などで、厳しい暮らしを強いられる人も少なくない。政府は、振興策を手厚くし、確実に実施する責務がある。

 アイヌの人たちの意見を丁寧に聴き、一層の権利回復につながる内容に練り上げてほしい。

 1997年に施行されたアイヌ文化振興法は名前の通り、文化面に特化した法律だった。

 アイヌ新法の立法化に向けた議論は、政府の有識者懇談会の提言に基づき、2年前から始まった。

 今回、推進会議の作業部会は、「地域振興、産業振興、国際交流等を含めた幅広い取り組みとなるよう、立法措置について検討を加速すべき」との方針を盛り込んだ報告書をまとめた。

 新法は初めて、法律でアイヌ民族を先住民族と明記する方向だ。その意義は大きい。

 20年には、胆振管内白老町に「民族共生象徴空間」も開設される。振興策も、実効性のあるものでなければならない。

 一方、北海道アイヌ協会などが要求してきた生活・教育支援は見送られる見通しだ。

 アイヌ民族だけを対象とした政策を講じることは、憲法14条の「法の下の平等」に抵触するとの理由からだ。

 だが、14条は社会的・経済的弱者をより厚く保護して格差を是正することで「実質的な平等」を求めているとされる。

 アイヌ民族の居住する道内66市町村で行った道の調査(13年)によると、生活保護率は平均家庭の1・4倍に上り、大学進学率は0・6倍にとどまる。

 明治以降、政府は、サケ漁などの漁労や、狩猟などアイヌ民族の生業を奪い、言葉を失わせる同化政策を進めてきた。

 不当な差別や格差を深刻にした背景には、こうした経緯があることを忘れてはならない。

 先住民族の復権を図り、格差を是正するのは世界の潮流である。格差の解消に向け、生活・教育支援の検討が求められよう。

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る