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厳しいのは父子世帯も 道のひとり親家庭調査 「相談相手いない」母子の3倍/届かぬ支援

 道が今月上旬に公表した「ひとり親家庭生活実態調査」結果は母子、父子世帯の厳しい現状を浮き彫りにした。特に父子世帯を巡っては、相談相手や情報が足りないなど「孤立」しやすいほか、母子世帯より収入は多いものの、経済的な負担は大きい状況も明らかになった。支援者らは「父子世帯は母子世帯より恵まれていると思われがちだが、厳しい状況は同じ」と指摘する。

 「誰かに、子育てや生活の相談をするという発想すらなかった」。道央で4歳の長男と暮らす男性会社員(26)は話す。

 長男が6カ月の時、精神障害を患う妻が「子供の面倒はみられない」とメールを残し、家を出た。その後離婚。長男は男性が引き取った。「突然で途方に暮れるしかなかった」

 現在、タクシー会社で正社員として働く。夕方から翌朝まで勤務する週2、3日の夜勤の日は、日中に引っ越し業者のアルバイトも入れる。年収は300万円ほど。「息子のために少しでも稼ぎたい」と保育園や近隣の父親に預けて働く。

 実態調査で、子どもに関して困った事や悩みがある時に相談する相手が「誰もいない」と答えたのは、父子世帯で23・9%と母子世帯の3倍に上った。親以外に頼りになる人が「いない」としたのは、父子36・4%、母子26・3%だった。

■周囲の無理解


 「男一人で子育てなんて」。この男性が父子世帯だと打ち明けたり、熱を出した長男のため仕事を抜けると、上司や知人にそう言われることも多い。「母子世帯以上に同じ境遇の人は少なく、周囲も現状を理解しにくい」と感じている。

 道内の父子世帯を支援する「えぞ父子ネット」の上田隆樹代表(53)=札幌市=は約12年前、娘が4歳の時に妻が急死。当時札幌市内の病院事務長だったが、残業などで娘の世話が難しく、妻の死後約1年で退職した。今は非正規で放射線技師として働く傍ら、インターネットの物販事業で家計を支える。「出張を断ったり、早退が続いたりして職場に居づらくなり、正規から非正規などに転職を考える人は多い」という。

 収入が200万円未満の世帯は、母子世帯54・2%、父子世帯18・7%だった。一方で「赤字で借金をして生活している」世帯は、母子15・3%に対し、父子は25%に上る。過去1年間に「電気・ガス・水道料金」「税金」などが払えなかった経験が「あった」とした割合は、いずれも父子世帯の方が多かった。

■助成は難しく


 ひとり親世帯の支援団体「しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道」の平井照枝代表(57)は、父子世帯の63・6%が「非課税世帯ではない」と答えた点に着目。「非課税世帯対象の就学援助や医療費助成などを受けられない中、収入もさほど高いといえず支出が負担になっているのでは」と指摘。住宅ローンを抱える父子世帯も多いという。

 実態調査では、「母子父子寡婦福祉資金貸付金」など支援制度の「周知不足」も目立った。平井代表は「父子世帯は地域との関わりも薄く、母子世帯よりさらに情報が届きにくい」とした上で、「周知徹底を図るとともに、母子、父子どちらにも育児や家事を助け働きやすい環境をつくる支援が必要だ」と強調する。(斉藤千絵、森貴子)

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