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五輪と新幹線、連動重視 札幌市 30年招致に転換 26年より激戦予想も

 札幌市が冬季五輪・パラリンピックの招致の照準を2026年大会から30年に切り替える方針を固めたのは、北海道新幹線を核とするまちづくりや古い競技施設の更新、市民の機運醸成をじっくり進め、華々しい祭典の環境を整えるためだ。ただ、30年招致には強力なライバルの米国勢が乗り出しており、競争は26年より厳しいとの予想もある。

 「26年ではお客を迎える化粧直しが終わっていない」。市幹部は秋元克広市長が五輪招致の理念とする「都市のリニューアル」を踏まえ、切り替えの必要性を強調。道内関連国会議員の「応援する会」共同代表、吉川貴盛衆院議員は「準備期間を考え30年になったのでしょう。尊重する」と、市に理解を示した。

 札幌市は五輪をテコに民間資本を呼び込み、72年五輪前後に整った都市基盤の更新を進める考え。当初から北海道新幹線と時期をそろえることが念頭にあり、延伸が26年大会に間に合うと見て招致に動きだした。しかしその後、延伸が間に合わないことが確実になり、市は内部で招致時期見直しを議論していた。

 それでも札幌市が26年招致プロセスの第1段階「対話ステージ」に進んだのは、他都市の出方を見ながら国際オリンピック委員会(IOC)と開催経費削減などを協議する狙いがあったため。実際、最大4565億円と試算した開催経費を、500億~1千億円減らせる見通しが立ち、開催のノウハウも得られた。市スポーツ局は「対話ステージの成果は大きい」と話す。

 ただ30年大会には、ソルトレークシティーなど米国勢が名乗りを上げ、欧州勢が26年から照準を切り替えてくる可能性がある。24年夏季大会のパリと28年ロサンゼルスのように、冬季も26、30年の開催都市が同時決定される可能性もある。日本オリンピック委員会(JOC)広報担当者は「あらゆる状況を想定しているが札幌市から現時点で正式な話はない」とコメント。今後の情勢は不透明だ。

 北海道新聞が札幌市民を対象に4月に行った世論調査では、五輪招致賛成は52%と昨年同期を4ポイント下回った。住民の支持を集めることも30年招致への重要課題だ。(渡辺徹也、柳沢郷介)

■会場候補の帯広・倶知安・ニセコ 「現実的」「判断尊重」

 札幌市が2026年の冬季五輪招致を断念し、30年大会の招致に照準を合わせることに対し、スピードスケート会場候補地の帯広市、アルペンスキー会場候補地の後志管内倶知安、ニセコ両町の関係者らには「30年が現実的だ」など肯定的な受け止めが広がった。

 帯広の経済界などでつくる「北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピック招致を応援する会」(会長・高橋勝坦帯広商工会議所会頭)の笹井祐三会長代行(74)は「30年は現実的で想定内。帯広にとって明治北海道十勝オーバルの観客席増のための整備に時間が充てられる。札幌市の判断を尊重したい」と話した。

 倶知安、ニセコ両町も冷静な受け止め。西江栄二倶知安町長は「30年開催なら北海道新幹線の札幌延伸で交通体系も整う」と理解を示し、「札幌市との連携に変わりはない」。ニセコ町の林知己副町長は「30年開催は想定されていた。あまり驚きはない。札幌市と十分準備したい」と話した。

 一方で、帯広の関係者からは「平昌五輪で地元選手がメダルラッシュに沸いていたので、できれば26年に開催したいという思いも強かった」との声も聞かれた。(久保吉史、堀田昭一)

■「なぜ30年」説明不可欠 世論の賛意・国際的信頼獲得へ

 札幌市の2026年冬季五輪・パラリンピック招致断念と30年大会招致への切り替え方針は、日本オリンピック委員会(JOC)の国内候補地に位置付けられた中での途中棄権と受け止められかねない。五輪招致には国内世論の賛意や国際的な信頼の獲得が不可欠。秋元克広市長には、冬季五輪を30年に招致する意義を説得力ある形で説明することが求められる。

 26年大会招致では、本命視されている欧州各都市が住民の反対で断念する状況も予想され、国際オリンピック委員会(IOC)幹部は17年冬季アジア大会を成功させた札幌市をいつでも大会を開ける予備候補と捉えてきた。2月の平昌五輪でトーマス・バッハ会長は「札幌はいいポジションにいる」と語り、26年の候補としてとどまることを求めていた。

 今回の札幌市の判断について、JOC内では「本音は30年でも、26年招致の活動は続けるほうが良い」と懐疑的な声も聞かれる。信頼を寄せるIOCに背を向けると受け止められる可能性があるほか、東京五輪でも可能性が薄いとされた16年大会の招致活動を土台にして20年招致に成功した経験があるためだ。

 30年招致に本気で進むのなら、札幌市は「なぜ30年なのか」という疑問に、誰もが理解できる回答を用意しなければならない。新幹線延伸といった札幌のまちづくりに関心がない他府県民や、地球の反対側の人たちにも「札幌で冬季五輪を見たい」と言ってもらえるプランや夢を示してほしい。(松本創一)

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