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第7部 女たちの道南 (1) 元気吹き込む「マグ女」

 かつて北前船や青函連絡船が津軽海峡を往来し、今は新幹線が青函トンネルを駆ける。函館・道南は、人とモノ、文化が行き交う本州との接点であり続けてきた。第7部は4回。この地でたくましく、しなやかに生きる女たちの姿を追った。

■海峡はさみ連携 

 「マグ女(じょ)」と呼ばれる女たちがいる。正式名称は「津軽海峡マグロ女子会」。会員は道南と青森県計18市町村の約80人。津軽海峡を挟む青函圏を活気づけようと、海峡のマグロさながらに、タフに地域を泳ぎ回る。

 北海道側代表の杉本夏子さん(45)=渡島管内松前町=と、青森側代表の島康子さん(52)=青森県大間町=の「運命の出会い」は2009年。東京で開かれたまちづくりのシンポジウムだった。「同じ危機感を抱いていた。目指すゴールも一緒」。そう感じた2人。深刻な人口減と高齢化に直面する故郷をいかにして次代に残すか、という課題と向き合っていた。

 杉本さんは、祖母が松前町で開いた「温泉旅館矢野」の若おかみ。中学から札幌に移り北海道東海大(当時)を卒業後、北洋銀行で8年間働き、30歳で帰郷。20年で人口4割減という過疎の現実を目の当たりにした。

 「来たい」と思われるには何が必要か。着目したのは、脈々と受け継がれる地域の食文化の豊かさだ。藩政時代から親しまれる「くじら汁」、あん入り白玉粉をだし汁に落とした「けいらん」。住民に教えを受け、これらを宿の食事に採り入れた。

 地域にあるものに光を当て、地域の個性を際立たせる。

 杉本さんが目指したこの道を、「本州最北端のマグロ一本釣りの町」に元気を吹き込もうとしていた島さんも歩んでいた。

 青森市の高校から慶大へ進み、情報・人材大手リクルートに9年間勤務した。大間へUターンして製材会社を継ぎ、00年に仲間と「あおぞら組」を結成。「まちおこしゲリラ」と称して、高級食材の「大間マグロ」を地元で味わえる解体ショーを開き、函館・五稜郭タワーに「マグロのぼり」を掲げた。

 ただ16年3月の北海道新幹線開業を控え、2人とも自分らの活動が「点」であることの限界を感じていた。「青函で頑張る女性たちの『点』を結んで『面』にしよう」。14年3月、2人を中心にマグ女を旗揚げした。

 その使命は三つ。第一に「人をつなげて道をつくる」。第二に「足元に光を当てる」。第三に「津軽海峡圏の元気づくりのけん引役になる」。会員はカフェのマダム、会社経営者、観光コンシェルジュと多種多彩だ。着眼点も視点も違うからこそ、アイデアが生まれる。

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