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麻生氏、刑法上「罪はない」主張 セクハラ問題 無理解いつまで 道内女性支援団体「これが政権の体質」

 「『セクハラ罪』という罪はない」。財務省の福田淳一前事務次官の女性記者へのセクハラ発言を巡り、麻生太郎財務相は8日の記者会見で改めて主張した。4日の会見で同様の発言を行い、全国の女性支援団体などから批判が噴出したが、政権幹部から責任を問う声は聞かれない。「女性活躍社会」を看板政策に掲げながら、セクハラに対する認識が甘い政権の対応に、道内の関係者は「これが安倍政権の体質だ」と批判を強める。(川崎学、山中いずみ)

■法律家反論「筋通ってない」

 「セクハラ罪という言葉はないが、セクハラは刑法上の強要罪や強制わいせつ罪などに問われることもある」。セクハラや性暴力に詳しい札幌弁護士会の須田布美子弁護士(47)は麻生氏の発言にこう反論した。

 野田聖子女性活躍担当相は7日のテレビ番組で、セクハラ防止のための法整備に関し「罰則や罰金が必要であれば、検討していけばいい」と指摘。麻生氏の発言に「私たちの感覚とは全く違う」と批判した。須田弁護士は「そもそも、罪名がないから適法だということにはならない。損害賠償など民事責任を問われることもある。麻生氏の発言は、あまりにも筋が通っていない」と憤る。

 麻生氏の一連の発言に対する政権幹部の反応は鈍い。菅義偉官房長官は8日の記者会見で、麻生氏の発言の受け止めをただされ、「直接麻生氏に聞いてほしい。そのための閣僚会見ですから」とかわした。安倍晋三首相も4月27日に麻生氏や財務省幹部と官邸で会談した際、「財務省には非常に厳しい目が向けられている」と述べるにとどめ、麻生氏の責任問題などには言及しなかった。

 北海道ウイメンズ・ユニオン(札幌)副執行委員長の山崎菊乃さん(60)は「女性の人権を軽んじる安倍政権の体質が透けて見える」と強調する。ユニオンなどの相談窓口にもセクハラに関する相談は多く寄せられるが、明るみに出るのは“氷山の一角”。「被害を訴えても、職場で嫌がらせを受け、辞めざるを得なくなったり、心身に不調を来したりする人も少なくない」という。

 財務省が4月27日にセクハラ行為があったと認定した後も麻生氏は、被害を受けた記者に大臣として謝罪していない。山崎さんは「政権が率先して人権侵害や性差別に厳しい態度で臨まなければ、社会にセクハラはやっても良いことと思われ、いつまでも無くならない」と話す。
■「女性活躍」政策に不信感

 首相は2012年の第2次政権発足直後から、一貫して「女性が輝ける社会」「女性活躍社会」の実現を政策に掲げてきた。

 札幌で育児情報サイト「ママナビ」を運営するマミープロ代表の阿部夕子さん(50)は、今年3月まで女性の活躍に向けて支援のあり方を検討する札幌市の「さっぽろ女性応援会議」委員を務めた。阿部さんは「財務省のセクハラ問題への対応が後手に回ったことで、これから社会に出て働こうとする女性たちの間に不安や不信が高まった。セクハラ問題をうやむやにせず、政府が先頭に立って問題解決に取り組まなければ女性活躍社会に水を差す結果となる」と指摘する。

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