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<知内 人を呼び込め 林業のまちの挑戦>上 伐期到来、「ヤマ」に活気

 幹に切り込みを入れ、くさびを打ち込むと直径60センチ、高さ20メートルのスギがゆっくりと倒れた。ドシン―。渡島管内知内町の造林・造材業「ドウナン林業」の社長前田政宏さん(40)と、社員の帰山幸司さん(41)は3月下旬、隣町の福島町で伐採に追われていた。1日に100本以上を切り倒し、切りそろえていく。

 前田さんは、知内町の造材会社を経て昨年6月に独立した。中学の同級生で、前田さんに誘われて林業に飛び込んだ帰山さんは「大木を切り倒す時に大きな達成感がある」と話す。

■新規就業続々

 知内の林業は今、活気づいている。2016年度以降の2年間余りで町内の造林・造材、木材加工業に10~40代の計11人が新規就業した。帰山さんはその1人。全体で130人余りの業界で、新人11人を迎えるのは近年、なかったことだ。

 北海道林業統計などによると、知内町から切り出される木材の素材生産量は15年度で約1万立方メートル。道全体の約387万立方メートルの1%未満だが、人口約4400人のまちに現在、造林・造材7社、加工5社がある。

 道南をはじめ、道内の人工林の大半は主に高度成長期に植林されたスギ、トドマツ、カラマツなど。樹齢45~65年となり、伐採が盛んだ。知内町の山林所有者でつくる町森林組合の桜井大介参事は「ここ数年、伐採したくても業者が忙しくて調整に苦労する。特に植林を行う人手が不足している」。結果、新規採用を計画する業者が増えた。

■「技術継承を」

 知内町はブナなどの天然広葉樹の資源が豊富で、昭和初期以降、建材用などに盛んに切り出された。1957年度の素材生産量は約5万5200立方メートルに達したが、その後は資源量が減少。建材の変化などで木材需要が減るなか、知内の林業は、木を曲線状に加工する成型合板や高級床材など、付加価値の高い加工に活路を求め、小規模でも多くの業者が生き残った。

 一方で林業に従事する人は減り続けてきた。町森林組合の元職員橋本政勝さん(66)によると半世紀前、造林・造材では100人以上、木材加工では500人以上がおり「冬は農家もかり出され、馬そりで丸太の運び出しを手伝った」ほどだったが、現在はその4分の1以下。高齢化も進む。

 加藤亮さん(38)は1年半前、北斗市のレッカー会社から、知内町の造材業「岸本木材」に転職した。同僚は50代以上の熟練たち。岸本義嗣専務は「ベテランが引退する前に技術を継承してほしい」と熱い視線を送る。

 もっと林業に人を呼び込みたい―。林業関係者と行政が動いたのは2年前のことだった。(木古内支局の高野渡が担当し、3回連載します)

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