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カジノ解禁 成長戦略に値するのか

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 賭博のもうけを経済活性化や地域振興に充てる発想が、まっとうな政策といえるだろうか。

 政府は、安倍晋三首相が成長戦略の目玉と位置づけるカジノの解禁に向け、統合型リゾート施設(IR)実施法案を閣議決定し、国会に提出した。

 全国のIR整備箇所数を最大3カ所とし、日本人客のカジノ入場料を6千円に設定、入場回数を週3回、月10回までに制限することを盛り込んだ。

 政府が「世界最高水準」と胸を張るカジノ規制の実効性は疑わしく、ギャンブル依存症への不安も払拭(ふっしょく)されていない。

 国会は、カジノ解禁の是非を含めて問題点をあぶり出し、徹底的に審議すべきだ。

 政府は、2030年に訪日外国人客を6千万人、訪日客による宿泊などの旅行消費額を15兆円まで増やす目標を掲げ、その誘客の柱にカジノを据える。

 だが、カジノは世界120カ国以上に広がり、飽和状態と言われる。主要な客は外国人ではなく、日本人になるとの見方が強い。

 経済効果が思うように上げられないばかりか、国民に依存症が増える恐れがある。

 規制の柱である入場回数制限は不十分と言わざるを得ない。

 韓国に1カ所だけある自国民用カジノの地域住民の利用は月1回までだ。シンガポールでは常習者の家計状況を調べ、回数制限を強制的に課しているという。

 入場料を取り戻そうとすれば、逆にのめり込むきっかけとなりかねない。いずれも依存症対策としては説得力を欠く。

 政府の17年度の調査では、過去に依存症になったと疑われる人が推計で3・6%に上った。国勢調査のデータから計算すると約320万人に達する。

 パチンコや競馬などの既存のギャンブルだけでも、依存症経験の割合は海外より高い傾向にある。そもそも、依存症対策の拡充は急務と言えよう。

 与野党はIR実施法案とは別に、依存症対策を強化する法案を既に国会へ提出している。IRとは切り離して、依存症の治療体制の整備を急ぐのが筋だ。

 道内では苫小牧市、釧路市、後志管内留寿都村がIR誘致に名乗りを上げる。北広島市でも、民間企業の構想が浮上している。

 IR設置申請の主体となる道は経済効果だけに目を奪われることなく、依存症などのリスクを丁寧に検証しなければならない。

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