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<舞台裏を読む>日ハム転出 市政批判「封印」

 市長就任以来、最も重い陳謝だった。札幌市の秋元克広市長は3日、南区の真駒内で開かれた説明会で神妙な面持ちで語った。「期待だけでなく、不安や懸念など迷惑をかけたことをおわびしたい」

 プロ野球北海道日本ハムは3月末、2023年に開業する新球場の建設候補地を北広島市とし、本拠地を札幌から移す方針を決めた。新球場誘致で秋元市長は、市外転出を懸念する声に押され、地元に反対論を抱えながらも道立真駒内公園案を提案。札幌ドーム残留を求めて出遅れたこともあり、誘致は失敗に終わった。

 秋元市長はこれまでにも職員の不祥事などについて議会や記者会見で謝罪したことはあった。ただ、今回は自らの対応を含めてわびた点で、より重かった。

 新球場問題で市に13日までに寄せられた意見は178件。多くが球団本拠地転出に至った市の取り組みへの批判だ。ネットでも、3月末に「日ハム転出、札幌市に苦情相次ぐ」とのニュースが流れると「市は取り返しの付かないことをした」と批判コメントが集中した。

 ところが、市議会や札幌の経済界には市長の政治的責任を問う声は少ない。

 25人による市議会最大会派・自民党の会長で、札幌ドームのお膝元、豊平区選出の三上洋右氏は「有権者から『残念だ』という声が続いている」と地元の落胆ぶりを認める一方、「結論は球団が決めたこと。市長を責められない」と語る。

 3年前の市長選で旧民主党に推されて当選した秋元氏に対し、自民党は対抗馬を推して戦った「市議会野党」。次期市長選が1年後に迫っても、批判を展開しないことについて、会派幹部は「厭戦(えんせん)気分も原因だ」と語る。

 自民党は03年以降の市長選で、候補者を毎回擁立したが4連敗。挑んでも勝てない状況に、次回は立憲民主党などとの相乗りとし、秋元市政2期目で主導権を握る構想を描く。自民主導の札幌市政を強く志向した町村信孝元官房長官が、15年に死去し、主戦論のリーダーがいなくなったことも背景にある。

 公明党会派も自民党と同様の立場。旧民主党系会派「民主市民連合」の市議は「市はできる限りの努力をした」などと擁護。共産党を除き、主要会派はみな表だった批判を封印している。

 都心再開発などに積極的な秋元氏には経済界にも再選を望む声が多く、「新球場に肩入れするほど、負けた時に市長が負う傷は深くなる。経済界も距離を置く方が良いという意見もあった」(札幌商工会議所幹部)。

 ただ、今月上旬に行った北海道新聞社の世論調査では、日本ハム新球場構想を巡る札幌市の対応に7割が批判的。秋元市長の支持率も昨年4月の調査より8ポイント低下し43%になった。議員や経済人から聞かれる市長擁護論と、市に批判的な一般世論。これらが札幌市政にどう影響するか、今後が注目される。(報道センター 松本創一)

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