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<7>97条 基本的人権の重み宣言

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【第97条】この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。


 あらゆる国内法の中で憲法が最も上位にあることをうたっている憲法第10章。その冒頭にあるのが、基本的人権の大切さを宣言する97条だ。その後の98条で「この憲法は、国の最高法規」と定めている。

 憲法は、個人の尊厳や国民の自由の保障という価値観を根底に、人間にとってかけがえのないさまざまな人権を保障している。だからこそ最高法規なのだ、という考え方を97条は明らかにしたものとされる。

 実は「基本的人権」という言葉は11条にも登場する。人権に関しての規定は11条を含む第3章にまとめられている。97条は一見すると、置かれる位置を間違ったかのように見える。自民党は一昨年4月に発表した憲法改正草案で、現行憲法の97条にあたる項目を削除した。97条が11条と「重複している」との理由からだ。

 だが、日本国憲法があえて重複をいとわずに、最高法規の章に基本的人権の条文を持ってきたのはなぜか。

 「過去幾多の試錬に堪へ」とは、さまざまな国で行われてきた自由や民主主義への攻撃や圧迫に対し、抵抗してそれを守り続けてきた努力を指す。

 さらに、基本的人権について、現在及び将来の国民に「侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」とした。今を生きる国民は、次世代のために人権を守り続け、主張し続ける責任がある―。その自覚を私たちに促したものだ。

 難しい言葉もあり、取っつきにくくも感じる憲法。その奥底に、人々の悲しみや喜び、怒りなどの生々しい歴史が凝縮されている。憲法改正や、解釈見直しによる実質的な改憲の動きが取り沙汰される今、97条はその重みをあらためて気付かせてくれる。=おわり=

(森貴子、平岡伸志が担当しました)

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