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1.立憲主義とは 国民が国家権力制限

 26日召集された臨時国会は、憲法改正の是非を巡る本格的な与野党論議の舞台になりそうだ。11月で公布から満70年となる日本国憲法。憲法改正は私たちの生活とどう関係するのか。改憲と護憲、それぞれの主張の背景にはどのような考え方があるのか。今後の国会論議を見ていく上でのポイントを、3回にわたってひもといてみる。

Q なぜ憲法は重要なの? 人権守らせる「ルールブック」



 こんな例で考えてみたい。重大な犯罪が起きるのを防ぐ名目で、国会の賛成多数で、政府による通信傍受を際限なく可能にする法律ができたとする。あなたと友人のメールのやりとりも政府の監視下に置かれ、「今の政府ってひどいよね」「集まって反対を訴えよう」という内容を書き込んだところ、警官が自宅にやって来た―。


 憲法は、こんなことが現実に起きないようにするためのものなんだ。今の日本国憲法は21条で「一切の表現の自由」を保障し「通信の秘密は、これを侵してはならない」とも定めている。例え国会で多数を占める与党が「問題ない」と判断しても、憲法の定めに反することはできない。

 国家の力というのはとても強く、海外には、政府に反対する人たちを不当に逮捕したり、重い労働を課す国もある。憲法はそうした権力の暴走を防ぐための「ルールブック」でもあるんだ。もう一つ、多数決で全てを決められないようにする歯止めの役割もある。例えば国民の大多数が信仰する宗教を全国民に強制するようなことになったら、自由な社会ではなくなってしまうよね。

 主権者である国民が、憲法で国家の権力を制限し、個人の自由を守る。こうした考え方や社会の仕組みは「立憲主義」と呼ばれる。

 昨年9月に成立し、今年3月に施行された安全保障関連法を巡る国会での審議も、この立憲主義を巡って与野党が大激論になった。この法律で可能になったのは、日本が直接の武力攻撃を受けていない場合でも、同盟国などが攻撃された時に一緒に反撃できる集団的自衛権の行使だ。

 戦後の歴代政府は憲法の平和主義を尊重して、集団的自衛権の行使は「憲法上許されない」と判断してきた。

 安倍政権はこれを「限定的であれば認められる」と変えた。多くの憲法学者や野党が「憲法で縛られるはずの政府が、時の首相の判断で憲法の読み方を変えていいのか」「立憲主義に反する」などと指摘したのは、それくらい憲法が重要だからなんだ。

 私たちの権利そのものに大きく関わっている憲法は、公布から間もなく70年になるけれど、これまで一度も改正されたことがない。これからの議論はその意味でもとても重要になる。

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