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シリア攻撃 戦火を広げてはならぬ

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 トランプ米大統領は英国、フランスと共にシリアへの軍事攻撃に踏み切った。

 アサド政権軍が首都ダマスカス近郊で化学兵器を使用したと断定し、関連施設を標的にした。

 どのような理由があっても化学兵器の使用は許されない。

 だが、軍事攻撃にどれほど効果があるだろうか。米国は昨年4月にも同様の疑惑を受け、シリアを攻撃したばかりである。

 しかも国連安保理の容認決議がなく、自衛のための攻撃とも言えない。国際法違反の疑いが強い。

 シリアでは関係国の利害が複雑に絡み合い、泥沼の内戦が続く。場当たり的な攻撃が事態の打開につながるとは考えにくい。かえって対立を先鋭化させ、問題の解決を遠のかせるだけだ。

 ましてや、戦火が広がるようなことはあってはならない。

 軍事攻撃は、化学兵器禁止機関(OPCW)が現地調査を始める矢先のことだった。

 化学兵器はアサド政権が使用した疑いが強いとされるが、第三者による真相解明が不可欠である。これでは、攻撃ありきだった、と批判されても仕方あるまい。

 そもそもトランプ政権に一貫した中東政策があるとは思えない。

 トランプ氏は今月初め、シリアに駐留する米兵2千人の経費を問題視し、撤収させる方針を表明したばかりだ。

 今回もどこまで先を見通して行動したのか、甚だ疑わしい。

 米英が2003年に安保理決議のないまま始めたイラク戦争が、取り返しのつかない混乱をもたらしたことを忘れてはいけない。

 一方で、シリアとその後ろ盾であるロシアの側にも問題がある。

 アサド政権軍の反体制派に対する非人道的な攻撃は目に余る。

 安保理で拒否権を発動できるロシアの力を背景に、傍若無人に振る舞っているのではないか。

 化学兵器の使用を否定するのであれば、自ら説明責任を果たす必要がある。13年に米国の軍事攻撃を回避し、アサド政権に化学兵器の放棄を約束させたロシアの果たすべき役割も大きい。

 関係国の対立が、7年に及ぶシリア内戦の解決を置き去りにしてきた。犠牲者は30万人を超える。米ロは武力でなく、外交によって緊張緩和に努めるべきだ。

 安倍晋三首相は「米英仏の決意を支持する」と述べた。直接的ではないとはいえ、武力行使を事実上、容認する姿勢には疑問が拭えない。

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