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<第2部 室蘭工大かいわい>10 高砂5丁目公園 学生と住民地域に活力

 「授業で学べないことを学んでから社会に出ることができた」。室蘭工業大OBの札幌市職員黒川寛人さん(27)にとって、まちづくりに携わる第一歩は高砂5丁目公園だった。

 公園は正門前の3600平方メートル。水元小が隣接する。サクラの木立や緩いスロープがあり、学生や親子が行き交う。学生サークルが年3回開く祭りには毎回約100人が集い、落ち葉を集めたプールやそり滑りに子供が歓声を上げる。

 もとは1968年開設の古い遊具が並ぶ寂しい公園だった。室蘭市の事業で、同大の教員や学生、住民と共に丸1年かけて地域が望む公園像を探り、2013年度に改修した。

 黒川さんは大学2年の時に志願して事務局に加わり、住民意見を吸い上げてデザインを練る役割を担った。

 住民との対話は未知の世界だった。無理に事務局側の構想を通そうとすると反発された。「相手の立場に立とう。焦っちゃいけない」と気づいた。今は室蘭での学びを胸に、札幌の市街地の再開発を手掛ける。

 室蘭市は当初、学生と住民の顔合わせを心配した。騒音トラブルで学生を快く思わない人もいたからだ。

 だが杞憂(きゆう)だった。市内の高校教員南雲俊太さん(40)は「いい学生さんたちだった」と振り返る。図面を手に力説する学生の熱意に次第に引き込まれた。今は公園の祭りに、教え子を誘って参加している。

 学生サークルは公園のにぎわいづくりに知恵を絞る。昨秋の祭りでは美術部にアート教室を開いてもらった。メンバーの工学研究科博士前期課程2年河野雅輝さん(23)は「もっと多くの人を巻き込みたい」と意欲的だ。住民は学生の活動を支え、成長を見守る。

 キャンパスから少しだけ離れた公園は、大学と地域をつなぐ象徴になっている。(おわり)
=第2部は生田憲が担当しました。第3部は「母恋かいわい」で、17日から始めます=

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