PR
PR

日本原電 東電の支援は無理筋だ

[PR]

 原発の過酷事故を起こして国の支援を仰いでいる会社が、他社の原発再稼働を助ける。しかも運転開始から40年近い老朽原発だ。耳を疑うような話である。

 日本原子力発電が再稼働と20年の運転延長を目指す東海第2原発(茨城県東海村)を巡り、同社が経営悪化で安全対策費を自力調達できないため、東京電力と東北電力が資金支援を行う意向だ。

 原子力規制委員会による東海第2の審査で、課題だった資金繰りも一定のめどがたつ形となる。

 原発の電気を卸売りする日本原電は、敦賀原発2号機(福井県)直下で活断層の存在が疑われ、活路を東海第2に求めている。

 確かに東電は原電の筆頭株主だが、福島第1原発事故を起こし、国に救済された。

 何よりも、廃炉をはじめ福島の事故処理に専念すべきだ。東海第2の支援を行うことに到底理解は得られまい。

 1740億円と見込まれる安全対策費について、東電、東北電は債務保証や電気料金前払いによる資金支援を検討しているという。

 老朽原発を動かして延命を図る前に、原電の存廃を含めた将来像を明確にしなければならない。

 福島の事故後、東電は実質国有化され、政府は事故処理費を約22兆円と試算した。除染や賠償費用の立て替えや帰還困難区域の復興に国費が投じられている。

 損害賠償費は他の電力会社も負担し、電気料金に跳ね返る。

 東電はこうした立場を再認識する必要がある。まして、将来性の極めて不透明な原電に対する支援など筋が通らない。

 規制委の対応も疑問が多い。福島の事故を受け、原発の運転期限を原則40年と定めたのに、11月で40年を迎える東海第2を合格させれば、ルールの形骸化が一層進む恐れがある。

 東電の原電支援について、世耕弘成経済産業相は「東電が自らの経営責任で判断すべきだ」と述べた。まるで人ごとのようである。

 東電の大株主であり、電力会社を監督する立場にある国こそが本来、原電のあり方を巡る議論を主導してもいいはずだ。

 東海第2の30キロ圏では96万人が生活しており、原電は事前同意の権限を立地自治体の東海村だけでなく、水戸市など5市にも認める安全協定を締結した。

 隣県の福島との県境まで50キロほどである。老朽原発を再稼働させるのは、今なお苦しむ福島の人たちへの配慮も欠いている。

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る