PR
PR

<道東から国際貢献 JICA帯広の22年>上 農畜産技術、途上国の礎に

 十勝管内鹿追町の町環境保全センター。タイの開発庁や天然資源環境省などから派遣された20~35歳の研修員14人が視察に訪れた。「余剰熱を無駄にしないところは非常に工夫している」。研修員の1人は、バイオガスの余剰熱を使ったチョウザメの飼育施設やマンゴーの栽培ハウスの技術の高さに感嘆の声を上げた。

■最先端の研修

 タイの将来を担う若手の一行は2月上旬、国際協力機構(JICA)の北海道国際センター(帯広)が企画した都市環境管理を学ぶコースに参加。酪農を基幹産業の一つとする鹿追町で、乳牛ふん尿や汚泥処理と併せてバイオガスを活用する再生可能エネルギーの実証例を学んだ。

 し尿を活用する試験事業はタイでも行われているが、鹿追のように国や道から出資を受けた大規模なものではなく、技術の普及に至っていないという。タイ環境研究所から参加した研修員は「自国の取り組みの参考にしたい」と話した。

 開発途上国向けの政府開発援助(ODA)による支援を一手に担うJICA。日本の専門知識や技術を伝える研修のほか、青年海外協力隊の派遣、自治体や研究機関が途上国で行う技術協力のサポートなどを行う。研修拠点は、帯広と札幌の道内2カ所を含め全国に15カ所あり、各地の地域性を生かした研修を行う。

■帯畜大も協力

 帯広では道東の主力産業である農畜産業に関する講義・実習が中心で、開設した1996年から2016年までに140以上の国から5776人の研修員を受け入れた。年間約50コースの研修を行い、視察先となるのは地元農家や農協、大学などの研究機関だ。

 帯広センター開設当初、研修コースの立案を担当した黒田こずえさん(65)は、運営が軌道に乗った理由について「センターの開設前から、JICAを通じて研修員を受け入れていた帯広畜産大の存在が大きい」と説明する。

 獣医・畜産系大で国内唯一の原虫病研究拠点を持つ帯畜大では、人畜の健康に影響を及ぼす感染症対策の研修コースが95年から行われ、これまでに36カ国から200人近くの研修員を受け入れた。研修を受け持つ原虫病研究センターの河津信一郎教授(56)は「家畜衛生分野の診断や治療技術などは日進月歩。知識や技術を常に新しくする必要がある」として、先端技術を習得させることに努める。大学独自の取り組みとして帰国した研修員を再度呼び寄せて技術指導も行う。

 帯広センター開設から22年。研修内容は日々更新され、研修員たちは十勝で世界の最先端に触れている。(帯広報道部の正井晶子が担当し、3回連載します)

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る