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<決着 大東案 札幌駅ホーム>上 流れ変えた5者協議

 北海道新幹線の札幌駅ホーム位置問題は3年近い迷走を経て、札幌駅の200~300メートル東に設置する「大東(おおひがし)案」で決着した。協議の舞台裏を検証するとともに、本州の例から道都の玄関口の将来像を探る。(2回連載します)

 札幌駅ホーム問題をめぐり、複数の関係者が「あれが天王山だった」と振り返る会合がある。2月4日、東京で秘密裏に開かれた「5者協議」だ。

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構、JR北海道、道、札幌市の4者に加え、国土交通省が初めて参加。会議は非公開はもちろん、情報漏れを恐れ、出席者にも当日朝まで会場が伏せられた。
自案譲らず3年

 機構は現札幌駅に併設する「現駅案」、JRは現駅東側に建設する「東側案」を主張し、平行線が続いていた。年明けに国交省が現駅案(工費約570億円)の枠内に予算を抑制する方針を示し、JRタワーの改修が必要で工費が膨らむ東側案は劣勢に陥る。方針決定のめどとされた年度末が迫り、会合では機構、2015年末に市議会が現駅案支持を決議している札幌市、国交省が現駅案でJRを押し切るとみられていた。

 だが、国交省は現駅案支持を明確にせず、追い詰められたJRが会合で初めて提案した、東側案よりさらに東にホームを造る「大東案」にも理解を示す。軌道修正の理由は不透明だ。「官邸に近い地元国会議員や与党重鎮が道や札幌市に大東案推進を働きかけ、官邸が大東案を支持しているとの見方が広がったため」とみる関係者もいる。

 この結果、5者は現駅案の実現可能性を認める一方、道、札幌市、JRが望めば大東案でもいいという方向で合意。この後、札幌市が大東案容認に方針転換。2月21日、高橋はるみ知事が記者会見で「個人的には大東案がいいと思う」と明言し、流れが決まった。

 迷走劇は、15年にJRが現駅の約300メートル西にホーム建設を検討していることが判明し、在来線への距離が遠いと批判が噴出して始まった。

 JRは「在来線の本数削減など支障が大きい」として「現駅案回避」を、機構は「現駅案以外は乗客の利便性を損ねる」として「現駅案推進」を主張。互いに歩み寄らず、地下案などさまざまな案が浮上しては消えていった。

 決定した大東案は、2年前にJRがいったん提案しながら在来線が遠いことから検討対象から除外された案を修正したもの。「技術スタッフが年末年始返上で準備していた」(JR幹部)新幹線ホームと在来線をつなぐ連絡橋設置を盛り込みアクセスを改善した。さらにJRが現駅案の工費を上回る75億円の負担を申し出た。

 札幌駅を取り巻く環境はこの数年で大きく変化した。訪日外国人客が増え、駅構内の混雑が常態化。JR高架南側と札樽自動車道を結ぶ創成川通(国道5号)沿いに「都心アクセス道路」を整備する構想も進む。発展が遅れる駅東側の再開発につながるとして、経済界を中心に大東案への支持が広がった。
なお不満の声も

 別のJR幹部は大東案での決着を「羽生結弦選手のように劣勢を挽回できた」と、平昌冬季五輪フィギュアスケートで、けがから奇跡の連覇を遂げたヒーローになぞらえる。一方、機構を含め現駅案を支持してきた関係者は「大東案は実現困難」「JRの想定は甘い」など、なお不満の声を上げる。

 3年近い水面下の協議で対立し続けた機構とJR。両者任せで協議を積極的に推進しようとしなかった道と札幌市。道都の玄関口整備へ関係機関が一体となって取り組む道筋は見通せない。(経済部 栗田直樹)

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