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「夕張方式」路線見直しモデルに JR・道 対象沿線自治体は警戒

 夕張市とJR北海道が23日、JR石勝線夕張支線(新夕張―夕張)の廃線とバスを含む代替交通の実現を正式決定したことで、JR側は自治体と協力して公共交通網を模索する「夕張方式」を、道内各地の「単独では維持困難」とする路線見直しのモデルケースにしたい思惑がにじむ。道も後押しする姿勢で、見直し対象の沿線自治体は警戒を強めている。

 「むしろ廃線することで、安心して利用できる公共交通体系を持続的に確保しようと取り組んできた」。23日のJR北海道との覚書締結後、鈴木直道夕張市長は廃線決断からの1年半ほどを振り返った。JRの島田修社長も「これから夕張市が取り組む新しい交通体系づくりを全力で応援したい」と応じ、両者の蜜月ぶりを印象づけた。

 鈴木市長は2016年8月、「座して廃線を待つのではなく、『攻めの廃線』」と先手を打って路線廃止を提案。JRからは初となる夕張市への社員派遣に加え、7億5千万円の支援金などを引き出した。14年の江差線木古内―江差間(42キロ)廃止時に沿線3町に拠出した計9億円に比べ、わずか16・1キロの夕張支線への支援は手厚く、地元関係者からも「満額以上の回答だ」との声が漏れる。

 代替バスや予約に応じて運行するデマンド交通など新たな公共交通網と、ターミナル機能をもつ拠点複合施設を一体的に整備し、廃線を転機にコンパクトなまちづくりも視野に入れる。JRも、物心両面の協力姿勢を鮮明にすることで「他地域の考え方が変わっていけば」(JR幹部)と呼び水効果を期待する。

 一方、道は、留萌線や札沼線など4区間に関し代替交通の検討を促すなどとした交通政策の新指針をまとめた。見直しが先行した夕張支線には触れていないが、「モデル的な成功事例」(道幹部)と位置付ける。高橋はるみ知事は18日の鈴木市長との会談で「利便性の高い交通手段が確保されるよう広域自治体の立場からサポートしたい」と新たなバス路線への補助を検討。「今まで以上に地域に入り、議論を深めていく」と地元協議を加速させる考えを示している。

 ただ、夕張支線は1自治体だけで完結する例外的な区間だ。今月5日には札沼線の沿線4町がJRとの個別協議入りを決めたが、他の見直し対象路線の沿線は自治体間の利害調整も生じることから、協議入りへの抵抗感はなお強い。根室線・富良野―新得間にある上川管内南富良野町の高橋秀樹副町長は「JRとの協議入りは、(根室線がつなぐ)道東など道内全体で考えて決めることだ」と個別での切り崩しをけん制する。

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