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<「安倍改憲」を問う 論憲考憲2018>上 平和実現「現行」のおかげ 河野洋平さん=自民党元総裁

 安倍晋三首相の意向を受け、自民党が党改憲案の策定作業を加速させている。党憲法改正推進本部は既に、改憲4項目のうち参院選の「合区」解消、教育充実、緊急事態条項の3項目で条文案取りまとめにめどを付け、最大の焦点の「9条改正」も1、2項を維持して自衛隊を明記する首相の案に沿う形で意見集約する方針だ。森友学園に関する決裁文書改ざん問題で政権基盤は揺らいでいるが、14日の執行役員会では改憲案の概要を25日の党大会で示す方針を確認した。年内の国会発議へひた走る自民党の改憲論議をどう見るか。関わりが深い人たちに聞いた。

 ――護憲派で知られていますが、党内で進む改憲論議をどう捉えていますか。

 「日本は現行憲法のおかげで、力によらない平和と国際貢献を実現してきました。憲法を変えなかったことが周辺国との関係を含めてプラスに働いてきたのです。連合国軍総司令部(GHQ)による『押しつけ憲法』だとの指摘もありますが、施行から70年以上たつのに今更言うのはこじつけですよ。日本は戦後の焼け野原からここまで立ち上がり、世界2位、3位の経済大国になりました。このプロセスのどこが間違いだったと言えるのでしょうか」

 ――安倍晋三首相は、憲法改正は自民党の党是であると繰り返しています。

 「確かに現在の党綱領には『新憲法の制定を目指す』とあります。ただ、私が総裁だったころに党内意見をまとめた文書では『憲法のあり方について論議を進めていく』という表現にとどめています。首相は『立党以来、一貫して』改憲を主張してきたと言いますが、明らかな間違いです」

 ――改憲への国民の反応をどう見ていますか。

 「世論調査によると、安倍政権での憲法改正への支持は少ない。このまま国民投票になれば否決されるでしょう。首相は9条改正の理由について、自衛隊を明記して違憲論を払拭(ふっしょく)するためだと言っていますが、一方で国会発議後の国民投票で否決されたとしても、自衛隊の合憲性は『変わらない』とも発言している。今までと変わらないならなぜ改正するのか、そこがはっきりしておらず、これでは国民に理解されません」

 ――首相の真意はどこにあるのでしょう。

 「まったくわかりませんね。ただ、自民党の4項目の本命は首相が掲げた9条改正でしょう。他の3項目は9条を飲みやすくするための『オブラート』のようなものです。もっともらしいことを言っていますが、今の憲法で不都合なことはありません。党大会の日程に間に合わせるため作業を急いでいるようにも見え、国民は置き去りにされている状態です」

 ――9条が改正されればどんな影響が出ますか。

 「日本が昔(の軍事国家)に戻るんじゃないかという不安感が他国の間で高まるでしょう。中国やロシアは意図的に『大変なことだ』と言い出すかもしれません。米国からは自衛隊に、これまでをはるかに超えた役割が求められる可能性もあります。自民党は改憲に相当の時間と政治的エネルギーをかけていますが、全く意味がありません。財政再建や社会福祉に当てる方が数段、国のためになるのではないでしょうか」(聞き手・東京報道 広田孝明)

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