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<第1部 室蘭駅かいわい>13 室蘭やきとり 3代目 客に育てられて

 炭がくべられて赤くなった鉄製の焼き台に、豚肉とタマネギを刺した串が手際よく並べられていく。絶妙な焼き加減で程よく焦げ目が付いた串をタレに通すと、市民が見慣れた「室蘭やきとり」が姿を現した。

 鳥辰本店(中央町2)。市内にひしめく室蘭やきとり店の中でも抜群の知名度を誇り、開店と同時ににぎわう人気店だ。

 道産豚肉のやわらかい肩ロースを用い、タマネギはシャキシャキした食感を重視して肉厚の部分を2枚重ねにして使う。

 難しいのは炭火の加減。店主の堀江宏治さん(43)は「火が強すぎても外側が焦げて肉の中まで火が通らない。弱いと中が硬くなる。程よい火加減が大切になる」と説明する。1日に使う炭の量は15キロ。来店のピークを見越して炭の量を増やし、火力を調整するのが大変だという。

 焼き上がったやきとりは、50年以上にわたって継ぎ足している秘伝の甘いタレにくぐらせ、再び火を通す。皿に載せ、からしを添えると、市民を魅了してやまない室蘭やきとりが完成する。多い時は1日2千本を焼くことがある。

 市外でも人気を誇ってきた。鳥辰は、室蘭中央ライオンズクラブの発案で2001年に事業化された「室蘭やきとりゆうパック(郵便小包)」の取り扱い第1号店。注文が殺到し、03、07年には郵政公社から感謝状を受け取った。

 室蘭市のふるさと納税の返礼品にもなっている。堀江さんは、市外に室蘭やきとりの多くのファンがいることに、「素直にうれしい。室蘭を離れた人が取り寄せたり、知り合いに贈ったりと、いろいろある中から選んでくれるのはありがたい」と感謝する。

 店は1947年創業のラーメン店「萬来軒」が前身で、61年にやきとり店になった。堀江さんは3代目の店主になる。

 やきとりを担当した当初はうまく焼けず、先代からの常連客に叱咤(しった)激励されたという。「『これじゃ駄目だ』とか『できるようになるよ』と言ってくれた。きつかったが、見返そうという気持ちになった」と話し、「そう言ってくれた人がいたからこそ今がある」と振り返る。

 初心に立ち返りながら、今日も焼き台の前に立つ。

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