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<紋別 流氷に航跡を描いて ガリンコ号30年>上 PR奏功増える海外客

 ガリッ、ガリガリ―。

 2月中旬、流氷砕氷船「ガリンコ号2」(150トン、乗客定員195人)が紋別沖5キロの海域で流氷帯に突入すると、船前方のらせん状のスクリュー2本が氷を砕く音が船体に響いた。

■各国語の歓声

 「好看(ハオカン)!(中国語ですごい)」「スアイ(タイ語できれい)」。平日のこの日、午前10時半の便は乗客133人のうち122人が外国人。甲板ではさまざまな国の言葉が飛び交い、流氷を背景に笑顔で記念撮影していた。台湾の小学校教諭葉佐智(ようさち)さん(45)は「友人のフェイスブックでガリンコ号を知り、いつか乗りたいと思っていた。夢がかなった」と声を弾ませた。

 2016年度の総乗船客数3万2729人のうち外国人は約2割に当たる6747人。05年度と比べて総乗船客数は約1万人減った一方、外国人は倍増した。1987年の初代ガリンコ号就航時からかじを取る山井茂船長(65)は「就航当時は日本人ばかり。次第に中国人が増え、最近はタイやシンガポールの観光客が増えてきた」と語る。

 99年に紋別空港が開港し、翌年7月に毎日1往復の東京・羽田便が就航したが、搭乗率は低迷が続いた。安定的な搭乗客を確保して航路を維持するため、紋別市は外国人観光客誘致に活路を求めた。当時市議だった宮川良一市長(63)は「それまで観光の優先度は低かったが、ガリンコ号が可能性を見いだしてくれた」と振り返る。

■「強力な武器」

 旅行会社を通じて海外向けにガリンコ号のPRに取り組んだ。効果はなかなか表れなかったが、近年の外国人観光客の急増に伴い、知名度が向上。紋別空港を利用する旅行ツアーへの奨励金制度なども功を奏し、羽田便の搭乗者数は15年度に初めて7万人を突破し、16年度に続き17年度も7万人を維持する見通しだ。

 紋別市は2年前から、東南アジアを「今後、成長が期待できる地域」(宮川市長)と位置付け。市長自らタイ観光庁を訪問したほか、市単独でベトナムやマレーシアの旅行フェアに11回出展。16年度のガリンコ号の国・地域別の乗船客数は、タイが台湾と同数の1965人で1位だった。

 昨年9月、観光協会など観光関連組織を一元化した市の第三セクター「紋別観光振興公社」が発足した。外国人観光客向けの旅行ツアーを販売し、19年度は1億2240万円の売り上げ目標を掲げる。同公社の常務取締役で、市の寺井志郎観光交流推進室長(55)は「海外でのセールスでもガリンコ号の存在は大きい。集客の強力な武器になっている」と強調する。(紋別支局の半藤倫明が担当し、3回連載します)

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