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<躍進!岩内高美術部>上 「絵には終わりがない」

 「初めて絵を描くのがきついと思った。受賞を聞いたときは正直ほっとしました」。後志管内岩内町の岩内高校美術部の佐々木佑真(ゆま)さん(18)=3年=は、今月開かれた15~21歳が対象の公募展「第10回道展U21」(北海道美術協会主催)に油彩画を出品。大賞、準大賞に次ぐ28作品に贈られるスポンサー賞の一つ「札幌市教育長賞」に輝いた。

■3年連続受賞

 題名は「春の記憶」(50号)。匂い立つような菜の花は、光の加減を何十種類もの黄色を使い繊細な濃淡で表現した。草木など自然の緻密な描写は佐々木さんの代名詞。一方、トラクターなど人工物を描くのは初めてで最後まで不安はあったが、3年連続受賞を遂げた。「自分自身の成長を感じ、描くのがもっと好きになった」と笑顔を見せた。

 岩内は部員15人のうち10人が出品し、山田大輝(はるき)さん(18)=3年=、枝元善蔵(よしぞう)さん(17)=2年=と合わせ3人がスポンサー賞を取る初の快挙を達成。3人以上の受賞はほかに都市部の札幌、函館の各1校だけで人口約1万3千人の町にある岩内高の躍進は際立つ。審査員で画家三村克彦さん(74)は「岩内の作品は風景への自分の感動を見事に描いている」と講評した。

■道展2人入選

 昨年の第92回道展(同協会主催)では佐々木さんと部長の村田桃花さん(18)=3年=が入選し、2年連続で部員2人が入選した。道展は一般参加者が多く、高校生の出品は少ないため、「同じ高校から2年連続2人入選は非常にまれ」(道展事務局)という。顧問の小倉恵一教諭(38)は「卒業後も絵の道を進むなら道展入選は必須」と美大志望の部員には高い目標を課す。100号など大きな絵を何枚も描くこともあり、部員たちも必死だ。

 「もう帰りたい」。道展U21の出品締め切り前日の今年1月29日夜、美術室で1年生の部員が疲れた表情でぼやいた。すると、普段は物静かな佐々木さんが一言。「後で悔やんでも遅いよ」。その言葉にほかの部員たちも再び、絵筆をとり、夜遅くまで作品と向き合った。後日、佐々木さんは「終わったと思っても、もう少し頑張って描く。『絵には終わりがない』という心構えを伝えたかった」と意図を明かしてくれた。

 1932年(昭和7年)、地元出身の画家木田金次郎の門下生13人が道展で入選し、「岩内派」と呼ばれ、町の「絵画熱」が高まった。木田金次郎美術館(岩内町)の岡部卓学芸員(49)は「部員たちは『現代の岩内派』。この町の新たな絵画の礎をつくっている」と期待を示す。美術部躍進の理由を追った。(岩内支局の岩内江平が担当し、3回連載します)

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