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大学無償化 選別より幅広い支援を

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 2020年度にスタートする高等教育無償化に向けた検討作業が、本格化している。文部科学省は専門家会議を設置して、詳細な制度設計に着手した。

 低所得者世帯の学生を対象に、大学や専門学校の入学金や授業料を減免し、給付型奨学金を拡充するという方向性は、おおむね理解できる。

 家計の状況に起因する子どもの貧困と格差固定化の解消に、寄与する面もあろう。

 解せないのは、政府が学生を受け入れる大学などにも、無償化の対象となるための要件を課そうとしていることだ。

 「実践的な教育の充実」という政府の大学改革の考え方に沿っているのだろうが、学生の支援と大学改革は本来、別次元の問題だ。

 無償化を、子どもや大学の選別の手段にしてはならない。

 無償化は住民税非課税世帯の子どもが対象で、これに準じる世帯にも一定の支援を行う。

 学生は、高校の成績だけでなく学習意欲も見て選ぶ。入学後は、成績や履修単位が水準に満たなければ支援を打ち切るという。

 消費税率引き上げの増収分の一部である年間8千億円を原資とするだけに、「ばらまき批判」を避ける意図ものぞく。

 だが、選ぶ際の公平性確保は容易でない。まずは、広く希望に応えることを優先すべきだ。

 入学後も、成績ばかりに目を向けるのではなく、支援を受ける学生の自立に向けた相談体制の充実が必要である。

 一方、入学先は《1》実務経験がある教員を配置《2》外部人材を理事に任命《3》成績評価基準を公表《4》財務情報を開示―しているところに限る方針という。

 背景には、即戦力を求める産業界の意向や、無償化を経営難の大学の延命措置にするな、との批判がある。

 18歳人口は今年、再び減少に転じる。地方を中心に、定員割れの私立大が多いのも確かだ。

 その中で、教育の質を高め、社会的要請に応えることは大学の責務ではある。

 だからといって実務教育に偏りすぎれば、大学が育てる人材の幅を狭めるだけでなく、基礎研究の土台がやせ細る恐れもある。

 国立大学協会会長の山極寿一京大学長が「学生が行きたい大学に条件を付けるのはおかしい」と批判するのも、もっともだ。

 無償化は学生のためであるという本質こそが大切だ。

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