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<訪問>「七色結び」を書いた 神田茜(かんだ・あかね)さん

主婦目線でPTAをユニークに

 「日々がんばる主婦たちへの応援歌」。本書の帯にあるとおり、家事にPTAに内職に追われる普通の主婦が、めげたり、悩んだりしながら、一風変わった癒やしを糧に奮闘するエンタメ小説。個性派講談師の著者らしく、独特のユーモアを織り交ぜた。「疲れたときに読んでもらうと元気が出ると思う」と話す。

 自身の経験を反映させた。主人公は中学生の息子を持つ主婦。面倒ごとを頼まれると嫌だと思いつつ、嫌われるのを恐れて仕方なく引き受けてしまう。くじ引きでPTAの広報委員長になったと思ったら、突然降って湧いた会長の不倫騒動。不毛な話しあいの末、後任を押しつけられる。会費未払いの家庭、前例踏襲で意味を問われることもなく続く慣例行事―。数々の問題に直面する。

 自身も20歳の娘と17歳の息子がおり、十数年来PTAに関わってきた。役員が決まらず、「早く帰りたい一心で『やります』と言っちゃうタイプ」。中でも忘れられないのは娘が中学時代。くじ引きで会長、役員候補に選ばれてしまった。仕事を理由に断ると、他の候補者たちもそれぞれ介護や病気などを挙げ、なんとか重責から逃れようと必死だった。

 なぜできないのか選考委員から問い詰められ、役員をできないのが悪いことかのような雰囲気。「公開処刑みたい。トラウマになってしばらく中学校に行けなくなった」。PTAの仕組みやさまざな問題点をその時期に調べた。「子供が大きくなった今、当時精神的に大変だったことを書いてみたいと思った」と語る。

 同時に主人公は、イケメンながら独特の歌詞を披露するミュージシャンにハマり、心を癒やされていく。例えば「君のそこが好きさ(中略)ぼくがそこを指でのばしてあげる(中略)そこがほうれい線(中略)レイホーレイホーレイホー」。身近と言えば身近だが、なんだかこっけいな歌詞。「PTAの話が暗いので、なるべく明るくしたいと思って」。面白い歌詞を思いついたときは、執筆している喫茶店で思わず一人でニヤニヤしてしまったと明かす。

 講談師としての活動の傍ら、新潮エンターテインメント大賞の「女子芸人」など数々の小説を執筆。職業柄か「小説を書いていても、どこかお客さん、読者の顔を思い浮かべながら書いている」。帯広出身で、上京して30年あまり。1月の首都圏の大雪では、降りやんでからようやく除雪に動く東京人と違い、数時間おきにこまめに自宅外の階段を雪かきした。「積もっちゃうと大変なのは分かっているので」。道民気質は抜けていない。

東京報道 原田隆幸

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