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子ども貧困対策 札幌が模範示す覚悟で

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 札幌市は新年度、子どもの貧困対策に特化した専門部署を、道内の自治体として初めて設ける。

 経済的な理由で食事や学習が不十分な子どもの実態を的確につかみ、市や民間団体の支援につなげる窓口とするのが狙いだ。

 とはいえ、専門部署の開設は対策の入り口にすぎない。

 家庭の事情や子どもの年齢によって、必要な対策は異なる。大切なのは、教育や福祉など分野ごとの縦割りを排し、懐の深い仕組みを構築することである。

 子どもの貧困は、道内各地で顕在化している。札幌市には、他の自治体の先駆けとなるような、精力的な取り組みを期待したい。

 専門部署は「子どものくらし支援担当課」として、子ども未来局に新設される。

 学校の教員や児童相談所の職員などから寄せられた情報を元に、同課のソーシャルワーカーらが家庭訪問して実態を把握する。

 市の調査では、低所得の家庭ほど相談窓口の利用が少なく、孤立しがちな傾向が見られた。こうした世帯に行政側から積極的に働きかけることができれば、問題解決の糸口をつかむことができよう。

 その糸口を、具体的な施策に結び付けなければならない。

 市は今回の措置に合わせ、通院医療費の無償化や保護者への就労支援、高校中退者への学習支援などを拡充する。

 これらの施策は現在、担当部署がそれぞれ行っており、横のつながりが乏しい。組織を横断して施策を調整できるような弾力的な運用が欠かせない。

 民間との連携も重要になる。

 安価な食事を提供する子ども食堂など、子どもに手を差し伸べる民間活動が活発化している。

 それが行政とも歩調を合わせ、互いに補完し合える形を整えられれば、子どもが貧困に陥るのを防ぐ網の目が細かくなる。

 道内の子育て世帯の家計は、札幌より他の自治体の方が厳しいとされる。子どもの貧困は結果的に地域社会の衰退につながる。道も含め、積極的な対応を求めたい。

 気になるのは、子どもの貧困に限らず、福祉政策の谷間にある人々が、しばしば困難な状況に置かれることだ。

 11人が死亡する火災が起きた札幌市の住宅も、法令に基づく福祉施設ではなかったが、生活困窮者の支援を目的に運営されていた。

 行政には、こうした谷間が生じないよう、住民の暮らしにしっかりと目配りをしてもらいたい。

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