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2018年の政治 空洞化させてはならない

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 2018年の政治が動き始めた。国政選挙は谷間の年だが、秋には自民党総裁選が控える。

 安倍晋三首相が3選されれば任期は21年9月まで延び、憲政史上最長の政権も視野に入る。

 首相がさらなる長期政権で見据えるのが、憲法改定だ。

 しかし、その針路は国民の意向と合致しているのか。

 22日には通常国会が始まる。国民目線で首相の真意をただし、道筋に誤りがないよう導くのは、まさに国会の役割である。

 国会を空洞化させないために、政党や議員はその役割をしっかりと果たさなければならない。

首相の足場は盤石か

 「憲法のあるべき姿を提示し、改正に向けた国民的な議論を深めていく。そんな1年にしたい」

 首相は年頭記者会見で、今年を改憲への正念場と位置づけた。

 まず通常国会で、各党との改憲論議を加速させる。その上で総裁選を通じて政権の基盤をより強固にし、発議に打って出る―。首相がそんなシナリオを描いているとの見方が強い。

 確かに昨年の衆院選では、自民、公明の連立与党が議席の3分の2を得た。北朝鮮の核・ミサイル開発への不安を背景に、国民が政治の安定を求めた結果である。

 野党の迷走も手伝って予想以上の大勝をもたらした、その後の内閣支持率もおおむね堅調だ。

 だが内実を見れば「ほかに適当な人がいない」といった消極的な支持が目立つ。首相への信頼は必ずしも回復していない。総裁選での3選にも「反対」が優勢だ。

 政権が頼みとする支持率が、実は消去法で支えられている。首相はその現実を踏まえ、謙虚な姿勢で政権運営に当たってほしい。

国民本位の審議こそ

 支持が消極的なものにとどまる背景の一つに、学校法人「加計(かけ)学園」「森友学園」の問題で、首相が説明責任を果たそうとしなかったことへの不信がある。

 加計問題では、いわば官僚側の内部告発で疑念が表面化した。政官の人事を掌握することで官邸主導を実現してきた「安倍1強」の限界が、露呈したともいえる。

 ポスト安倍をにらむ石破茂元幹事長に限らず、自民党内から政権と距離を置く発言が聞こえ始めたのは、そこに政権のおごりの一端を見たからではないか。

 野党側は通常国会でも一連の疑惑を追及するという。首相は国民の不信の払拭(ふっしょく)に努めるしかない。

 国会前半の審議は新年度予算案が中心となる。20年の改憲を目指す首相にすれば、予算を一刻も早く成立させ、憲法論議の時間を十分確保したいところだ。

 しかし予算案自体、議論を尽くすべき課題が山積している。

 たとえば防衛費である。北朝鮮を想定した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の購入が盛り込まれた。

 これに対しては早くも、米国からの有償軍事援助(FMS)での導入が見込まれるため「言い値」で買わされることへの懸念が浮上している。

 離島防衛が目的とされる長距離巡航ミサイルは、北朝鮮の基地攻撃も可能で、憲法に基づく専守防衛の原則を逸脱しかねない。

 予算以外にも論点は尽きない。

 働き方改革では、残業時間に上限を設ける規制と、逆に一部専門職の労働時間規制を外す規制緩和を抱き合わせていることに、野党が強く反発している。

 カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)実施法案もギャンブル依存症対策が生煮えだ。

 どれも数の力で押し切るわけにはいかない重要法案だ。政府・与党は、国民の声にしっかり耳を傾けて国会に臨むべきである。

野党の役割再確認を

 迷走する野党勢力も立て直しが急務だ。

 衆院選では、最大野党だった民進党が分裂。政権交代どころか、現政権に対する批判票の受け皿もまともに用意できなかった。

 民進党、立憲民主党、希望の党の3党は、統一会派などの模索を続けているが、分裂当時のしこりもあって調整は進まない。

 安全保障関連法や改憲を巡って一度はたもとを分かった関係だ。理念を棚上げした合流では説得力を欠く。かといって議席数で与党に水をあけられた各党がばらばらでは、巨大与党に対抗できない。

 それでも、個別の政策課題で連携できる部分はあるはずだ。

 例えば原発政策では、野党の多くが全廃を目指す立場で、安倍政権との対立軸ともなり得るのではないか。かつて安保関連法案を巡り、市民運動を結節点とした連携が実現した前例もある。

 単なる野党間の駆け引きに終始しては、民意はついてこない。野党には、国政に緊張感を取り戻す道を早急に見いだす責務がある。

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