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<札幌モーターショー特集>道産EV発売へ 二駆でも雪道安定走行

 札幌モーターショーの目玉の一つが、道内の中小企業10社と中小企業基盤整備機構北海道本部(札幌)が出展する寒冷地仕様の電気自動車(EV)だ。2016年の前回に出展したコンセプトカーを市販車用に改良した「ネイクル・タイプ2」と、新たに開発した市販車「ネイクル・タイプ3」の2台。いずれも6月の販売開始を予定している。

 タイプ2はトヨタ車体(愛知県刈谷市)の小型EV「コムス」がベース。前作は4WD(四輪駆動)だったが、市販化に向けコストダウンのネックとなっていた。そこで車の底部を10センチかさ上げして雪の抵抗を軽減させるとともに、ギア比の変更でトルク(回転軸に働く力の強さ)を20%向上させた。こうした改良で2WD(二輪駆動)でも雪道での安定走行を実現した。

 1人乗りで最高速度50キロ、フル充電での航続距離は50キロ。販売価格は150万円前後でオプションも用意する。主に公用車や商品配送車としての活用を想定し、既に胆振管内の公的機関から注文を受けたという。

 タイプ3は光岡自動車(富山市)の三輪車「Like―T3」を基に開発し、2人乗りで最高速度50キロ、フル充電での航続距離は60キロ。積載量はタイプ2より70キロ多い100キロ。販売価格など詳細は検討中だ。通院・通学の送迎や配送車としての需要を見込んでおり、オホーツク管内の民間企業から受注があった。

 新年度には道内で試乗会を予定。参加者から寄せられた感想を基にさらなる改良を重ねていく方針だ。

 開発に参加した10社は次の通り。(かっこ内は所在地と業種)

 ▽アーリーテック(北広島、自動車ボディー製造)▽Will―E(札幌、機械設計)▽倉本鉄工所(北見、機械器具設置工事)▽光源舎オートプロダクツ(北広島、新車・改造車販売)▽コスモメカニクス(旭川、モーター製造)▽西野製作所(室蘭、機械部品製造)▽NU(札幌、広告)▽フィールド・クラブ(北広島、立体造形物設計・製作)▽福地建装(北斗、建材卸売り)▽北翔(江別、自動車回収、部品販売)

■設計担当 Will―E・根本社長 地元の技を結集 寒冷地市場を開拓

 道内の製造業者などが共同開発した寒冷地仕様の電気自動車(EV)は今年、市販することが決まった。寒冷地に向かないとされてきたEVを道内に普及させようと、2013年から各社が得意の技術を持ち寄り奮闘してきた。設計などを担当したWill―E(ウィル・イー、札幌)の根本英希社長(53)に、開発の狙いや意義を聞いた。

 率直に言うと、現状では寒冷地向けEVの市場はありません。だからこそ、多様な寒冷地技術を持ち地域のことをよく知っている道内の中小企業が協力し、地域に合ったEVを作る意味があると考えています。

 1960年代半ばに始まったモータリゼーション(自動車の大衆化)によって作り上げられたのが今の自動車の形態です。今後、人口減少が進み、社会を取り巻く環境が変わる中で、自動車の市場や形態は変わっていくでしょう。われわれは次世代が幸せな生活を送るための形を提案したい。

 その一つの形が今回出展する2台です。タイプ2の価格は150万円前後となり、4WDの軽自動車のほうが安く買えるという声もあります。ただモータリゼーション時代に入って50年で現状に至ったことを考えれば、次の50年で予測できない環境変化が起きるはずです。車が無くなるかもしれないし、立ち乗り電動二輪車セグウェイが雪道を走るかもしれない。そうした新しい時代に向けた提案をしたいんです。

 タイプ3は道路運送車両法で側車付軽二輪に分類され、ドアなどを付けることができません。寒冷期に乗れるのかと思われるでしょうが、私たちは冬には防寒して外に出ます。省エネのため1枚多く着ようとか、時代に人がどう調和するかを考える時がくるかもしれません。会場でわれわれの車を見て触ってもらうことで、新時代の車のあり方を一緒に考えてもらいたい。


 <略歴> ねもと・ひでき 北見市出身。北見工大卒。いすゞ自動車でエンジン設計などを担当した後、2003年に独立しWill-Eを設立。北海道職業能力開発大学校客員教授も務める。

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