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経団連次期会長 政権にもの申してこそ

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 榊原定征(さだゆき)経団連会長の後任に、日立製作所の中西宏明会長(71)が内定した。5月に就任する。

 中西氏は安倍晋三首相と親密で、未来投資会議の民間議員を務めるなど政権とのパイプが太いことから本命視されてきた。

 リーマン・ショックで巨額赤字に陥った日立を社長として短期間で立て直した経営手腕が、経済再生に生かされるよう望みたい。

 経団連は、個別企業の立場だけではなく日本経済全体の利益に目配りしなければならない。

 だからこそ政治と一定の緊張関係を保ち、時には大所高所から直言することが求められる。

 目先の選挙に左右されがちな時の政権に追随するだけでは、国民の信頼は得られまい。そのことを中西氏は忘れないでほしい。

 中西経団連が心がけるべきは、幅広い意見をしっかり吸い上げることである。

 会員に多い重厚長大産業やグローバル企業向けに政策提言が偏っていないか。働く人の4割を占める非正規社員への配慮が行き届いているか。社会・経済の構造変化に合わせた改革が欠かせない。

 榊原氏の出身企業・東レを含め産業界では品質不正が相次ぐ。中西氏が先頭に立って再発防止と信頼回復を急ぐ必要がある。

 気になるのは、政権との距離の近さだ。

 榊原会長は安倍政権との連携を強めてきた。民主党政権時代に中断した政治献金呼びかけを再開し、法人減税などが実現した。

 だが、政治献金に対しては「政策をカネで買うに等しい」との批判が根強い。

 税金による政党交付金制度を導入したのは、腐敗の温床となった不透明な献金をなくすためだ。

 中西氏はその原点に立ち返り、献金廃止に向けた議論を主導すべきだ。

 政権が賃上げを要請し経済界が応える「官製春闘」も正常な政財関係ではない。

 経団連が、子育て支援に充てる3千億円の企業負担をあっさり受け入れたのも違和感がある。

 これでは政権にすり寄っていると見られても仕方あるまい。軌道修正を求めたい。

 日立は原子炉メーカーでもあり、同社からは中西氏の先輩で名誉会長の川村隆氏が東京電力ホールディングス会長に就任した。

 経団連会長に中西氏が就くことで根強い反原発の世論が置き去りにされ、政財界が再稼働に一層前のめりにならないか心配だ。

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