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入所児童虐待 根絶へ手だて尽くそう

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 被害に遭った子どもの絶望は、どれほどだっただろうか。

 道と札幌市の内部資料によると、道内の児童養護施設や里親家庭などで暮らす子どもへの虐待が、2016年度までの5年間で20件に上っていた。

 家庭での養育が困難と判断され、親と離された子どもは、そもそもつらい体験をしている。

 それが、避難先とも言うべき場所で虐待される。こんな理不尽は決して許されない。

 明るみに出た事例が、氷山の一角にすぎない可能性もある。

 道など関係機関は緊密に連携して、実態を詳細に調査し、根絶に全力を尽くす必要がある。

 施設などで暮らす児童は道内に約2500人いる。20件の虐待のうち、施設職員によるものは17件に上り、里親は3件だった。

 体罰などの身体的虐待と、暴言や辱めなどの心理的虐待がいずれも7件と多く、次いで性的虐待が6件で、重複する事案もあった。

 道央の児童養護施設では、元職員が女児3人にわいせつ行為を繰り返し、強制わいせつなどの罪で実刑判決が確定している。

 あきれるのは、女児の被害について報告を受けた上司がすぐには対応せず、放置していたことだ。

 資料からは、こうした施設の「人権意識の低さ」「体罰を容認する雰囲気」など、さまざまな問題点が浮かび上がる。

 道内を含む全国の施設で虐待が繰り返されてきたが、改善は途上と言わざるを得ない。

 洗面所や居室、夜間など、死角になる場所や時間帯に起きやすく、施設の人員不足で目が届かないことも一因だ。

 再発防止には専門性の高い職員の増員が望ましい。少なくとも、十分な研修や教育による人材育成を怠ってはならない。

 09年に改正児童福祉法が施行され、被害児童や職員の通告に基づいて道や札幌市が調査する制度ができた。しっかり機能しているかどうか、検証が欠かせない。

 児童がものを言いやすい仕組みを工夫し、地域との交流を通じて施設の開放に努め、虐待防止に効果を上げている施設もある。こうした取り組みも参考にしたい。

 政府は家庭的環境での養育を重視し、里親などへの委託を大幅に増やす方針を打ち出している。

 里親の担い手を増やすだけでなく、その質がかぎとなる。児童養護施設などへの里親支援専門相談員の配置を加速し、継続的な支援体制をつくることも課題だ。

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