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<働く@北海道>思いを、つなぎたい 道内の大学生、新入社員 就活を振り返って

 道内で学んだ大学生の4割近くが北海道を離れ、道外で就職している。道内の企業が人手不足にあえぐ中、人材の流出を防ぎ、若者を道内に定着させるためにはどうすればよいのか。就職活動を終えた学生や新入社員を取材した。

 「どう探せば良かったのか、今もよく分からない」。今春、東京に本社がある不動産会社に就職する東海大札幌キャンパス生物学部4年の上西航成(じょうにしこうせい)さん(21)は、自らの就活をこう振り返る。

■いつか故郷に戻りたい

 札幌で生まれ育った。道内での就職も視野に昨年春、インターネット上の就職情報サイトを使って就職先の候補を絞り込んだ。不動産や金融、食品分野を希望した。だが就職サイトは無数にあり、それぞれ載っている企業や情報内容が異なっていたため、十分調べきれなかったという。

 迷いながら道内外の複数社を受け、いずれも内定をもらった。最後は父親の「外を経験すると視野が広がる」との助言で道外を決断した。ただ道内企業によっては、掲載に費用のかかる就職サイトに情報を載せていない社もある。「もっと情報収集すれば、より多くの企業に出会えたのかも」。就職を楽しみにする一方、いつか道内に戻りたい気持ちもある。

 北海道労働局よると、道内大学の卒業者が道内で就職する割合は、2009年から10年にかけて増えたものの、その後は横ばいか微減が続き、17年3月は38%が道外に流出した。労働局は「道内の学生は総じて地元就職志向が強い。だが、求人倍率が上昇しているにもかかわらず、大企業などの多い首都圏に就職先を求める傾向が変わらない」と分析する。

■流されて決めたくない

 一方、釧路管内白糠町出身で小4から札幌で暮らす木田和宏さん(27)は昨年春、松尾ジンギスカンで知られる食肉製造・販売のマツオ(滝川)に総合職として就職した。マツオが展開するレストラン「松尾ジンギスカン札幌駅前店」(札幌市中央区)で働いている。

 北海学園大で電子情報工学を専攻。「流されて就職したくない」と卒業後に就活をスタートし、道内外の企業の試験を受ける中でマツオに出会った。マツオはその年、「将来を担う人材をきちんと育てる」ため、新卒大学生の採用に踏み切ったところだった。

 応対したマツオの社員は「北海道を良くしよう」と熱く語り、木田さんは「札幌には両親、道内には多くの友人がいる。北海道を元気にする仕事に就きたいと決めた」と言う。両親は道内就職を喜び、店には友人が時々来店。「仕事の励みになっています」

 札幌大谷大社会学部4年の草野瑞月(みづき)さん(22)は今春、菓子卸業のナシオ(札幌)に入社する。岩見沢出身。決め手は先輩社員から直接聞いた職場の雰囲気だった。

 就活中に呼ばれた会社の懇談会。「先輩たちがなぜこの会社に就職したのか、そして職場をどう思っているかを話しました。一気に身近に感じました」。何より、社員同士が楽しそうに話す姿が印象的だったという。

■得意分野で貢献したい

 東京の企業に入って道内で働くという選択をした学生もいる。藤女子大人間生活学部4年の林愛莉さん(22)。化学メーカーのゴードー(東京)に今春就職するが、勤務は食品添加物などを製造する北広島市内の工場に限定され、技術職として製品試験を担当する。

 帯広出身。大学で学んだ食品安全の分野で「北海道に貢献したい」と志望。道内企業を探したが、食品分野の技術職の求人は少なかった。途方に暮れていたとき、大学の先輩の就職例から、道内勤務の求人を出す道外企業があることを知り、希望がかなった。

 「就活を経験した先輩の話は貴重。これから就活する人は、いろんな人に相談して、ここで働きたいという企業に出会ってほしい」と話す。

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