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人口減止めた上士幌町と鶴居村 子育て支援、宅地造成で

 人口減少が急速に進む北海道。しかし、国の過疎指定を受ける道内149市町村のうち、2017年9月末に前年同月より人口が増えた自治体が6町村ある。このうちリゾートの活況などで外国人を中心に増えている後志管内4町村以外では、十勝管内上士幌町と釧路管内鶴居村が、地域資源を生かして人口減を食い止めている。「地方消滅」が危ぶまれる時代に、持続可能な地域の未来が上士幌と鶴居から見えてくる。

■上士幌町 ふるさと納税好調 育児に投資

 「せんせー、あそぼ!」。昨年12月中旬、上士幌町の認定こども園「ほろん」に昼寝から目覚めた園児のにぎやかな声が響いた。園児は開園した15年度の約100人から約150人に。町企画財政課の宮部直人主幹(47)は「人口増を一番感じられる場所ですね。最近はスーパーでも若い人をよく見かけます」と語る。

 人口はピークの1955年の1万3608人から減少を続け2015年3月に4874人に。しかし、その後に増加に転じ、17年11月に4964人まで盛り返した。転入は16年296人、17年は11月までに319人で、ともに転出を70人以上も上回り、8割が40代までの子育て世代という。

 人口増を支えるのが、ふるさと納税。特産の牛肉などの返礼品が注目され、16年度までに約50億円が寄付された。それを財源に14年度に子育て支援基金を創設。こども園の10年間無料化や外国人教員配置を行った。

 夫(33)が町内の自然保護施設に転職し、長男(5)を連れ16年春に苫小牧市から移住した町臨時職員の松岡由紀さん(32)は「こども園が無料でいい町だと思った」と振り返る。

 竹中貢町長(69)は言う。「地方移住には収入減や子育てへの不安がある。だから、安心して暮らせる環境を整えた」。周到な準備もあった。複数の大規模な農業法人など1次産業を中心に雇用の受け皿があり、それら就業先と移住希望者を引き合わせるため、町は15年度に無料の職業紹介を始めた。12年度から集合住宅の建設費を最大300万円助成し、これまで約300戸を供給。「地方暮らし」を包括的に支えた。

 民間識者団体が14年に公表した人口予測で「消滅可能性自治体」とされたが、「団塊世代の高齢化がさらに進んだ後は若年層が増え、上士幌は若い町になる」。竹中町長は真剣な表情で語る。

■鶴居村 自然前面 宅地が人気

 一方、立地と環境を生かしたのが釧路市との境に近い鶴居村の宅地「夢の杜(もり)団地」だ。村企画財政課の石塚裕祐さん(30)は「元々は企業誘致用の土地でした」と振り返る。19年前、豊かな自然を生かした地域づくりへと転換し宅地販売を開始。約70区画をほぼ完売し、15年度に新たな分譲地26区画の販売を始めた。

 村の人口は最盛期の半分。16年3月には2509人まで落ち込んだが、同年6月から18カ月連続で前年同月を上回り、17年11月には2535人となった。大石正行村長(57)は「働き口のある釧路に近く、タンチョウの飛来する自然がある。立地の優位性が大きい」。

 基幹産業は酪農。搾乳ロボット導入などで生産性が向上し、生乳生産量が増えた。経営の安定で後継者のUターンも増え、14年度以降、農家戸数は85戸を維持している。移住効果と重なり、15、16年の年間出生数は各21人で死亡数を差し引いた自然動態は15年1人減、16年3人減にとどまった。

 14年前。釧路市などとの合併協議を離れ、自立の道を選んだ。大石村長は断言する。「鶴居の特色を生かした地域づくりのために、判断に間違いはなかった」

 一般社団法人「持続可能な地域社会総合研究所」(島根県益田市)の藤山浩所長(58)は「食料とエネルギーが豊かな北海道は最も持続性がある地域。地元の特性に根ざしたまちづくりができたら自立していける」と話している。(報道センター 門馬羊次)

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