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安倍政権と憲法 国民の総意 汲んでこそ

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 安倍晋三首相はきょう、2012年12月の第2次内閣発足から5年の節目を迎えた。

 この間、経済政策で次々と看板を掛け替えて4度の国政選挙を勝ち抜き、「安倍1強」を確立。特定秘密保護法や安全保障関連法など、世論を二分する法律を数の力で強引に成立させてきた。

 その先に据える最終目標が憲法改定なのだろう。

 首相の意を受け自民党憲法改正推進本部がまとめた「論点取りまとめ」は焦点の9条について、現行の条文を残して自衛隊を追記する首相案と、戦力不保持をうたう2項を削除する案を併記した。

 自民党内すら議論が煮詰まっていない現状を反映したものだ。

 首相は直後の講演で「2020年、日本が大きく生まれ変わる年にする。憲法について議論を深めるべきだ」と作業加速を促した。

 だが、ことは国のかたちを規定する憲法だ。国会はおろか党内合意すら見えぬまま、歩を進める環境にはない。国民の総意を汲(く)む姿勢がいまこそ首相に求められる。

 衆参の憲法審査会は特別国会で議論を再開したが、浮かび上がったのは各党の立場の溝である。

 9条では、公明党が慎重論を強める一方、希望の党や日本維新の会が自衛隊明記に一定の理解を示し、与野党の枠組みが揺らぐ。

 ほかの項目についても、参院自民党が選挙区の県を越えた合区解消のための改憲を掲げる一方、日本維新は教育無償化を最優先とするなど、論点が収束しない。

 国民にとって急を要する改憲項目が存在しない証左ではないか。

 衆院審査会の現地調査では、一院制導入を問う改憲が国民投票で否決されたイタリアの議会関係者から「その時々の政治的多数派に頼って憲法改正をすることは極めて危険」との助言を得た。

 国民投票でEU離脱を決めた英国では「国民投票で現状を変更しようとするのなら、少なくとも60%の賛成が得られる状況が必要」と指摘された。数を頼った安易な発議に対する警告であろう。

 今月上旬の共同通信の世論調査では、安倍首相の下での憲法改正について「反対」が48%を占め、「賛成」は36%にとどまった。

 首相はこれまで、時として立憲主義を軽んずるかのような言動を重ねてきた。それが国民の不信を招いたと受け止めるべきだ。

 改憲を「党是」に掲げる自民党の総裁だからこそ、現行憲法の価値を見つめ直し、民意に謙虚に耳を傾けてもらいたい。

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