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無計画な旅 熊の家は遠く

無計画な旅 熊の家は遠く

 「わ~想定外!川湯温泉って阿寒湖温泉のすぐ裏だと思ってた。それになんだか少しづつ上ってない?」。暮れかかる土地勘のない道を走る無計画夫婦。ハンドルを握る夫は「夏タイヤ走行規制」の道路情報に言葉を失ったままだ。10月最後の週末の天気予報は気温も高めで、おおむね晴れ。これはチャンス!タイヤを変えずに動けるのは今日しかない!

 この突発的な旅に駆り立てたのは、札幌芸術の森美術館で見た「木彫家 藤戸竹喜の世界」展のすばらしさ。藤戸さんの木彫作品を知ったのは4年前で、北海道近代美術館でひらかれたアイヌ民族の文化を紹介する「AINU ART 風のかたりべ」展でのことだった。最後の一室に踏み込んだ時、暗く照明を落とした空間に白く浮き上がる彫刻作品に息をのんだ。ひげをたくわえたおじいさんがふくろうの飾りを頭にのせ、両手に羽をつけて舞う姿は、気高く神々しく、表現は徹底的な写実なのに温かみがあり、しばらくその場を動けなかった。北海道にこんなに素晴らしい作家さんがいたなんて!川を泳ぐサケを狙う熊、砂にもぐるカレイなど生命の輝く一瞬を捉えた小品もなめるように見た。

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