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羽生永世七冠 将棋のさらなる高みを

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 信じた道を、たゆまず歩き続けてたどり着いた栄冠だ。

 棋界トップの羽生善治さんが、通算7期目の竜王位に就いて「永世竜王」の資格を取得し、七つのタイトル戦全ての永世称号を制する「永世七冠」を成し遂げた。

 偉業というほかない。

 1989年、当時最年少の19歳3カ月で初タイトルを獲得してから28年。通算タイトル数は99期を数え、他の追随を許さない。

 天才と呼ばれてなお、研さんを怠らない姿に、多くの人が感銘を受けたことだろう。

 コンピューター全盛の時代に、人間の指す将棋の魅力を示した羽生さんの快挙を心から喜びたい。

 永世称号は、各タイトル戦での実績が条件となる。一つでも取れば将棋史に名が残るが、現役の資格保持者は5人しかいない。

 その七冠は、まさに驚異だ。

 羽生さんは85年、15歳でプロ入りした。史上初の1億円棋士、前人未到の七冠同時制覇など、門外漢をも熱狂させてきた。

 どんな戦法でも受けて立つ柔軟な棋風で、「羽生時代」を築き、将棋界を今日の活況に導いた、最大の功労者といえる。

 対戦相手に恵まれたことも、才能に磨きをかけたはずだ。

 谷川浩司九段らの全盛期に登場し、佐藤康光九段、森内俊之九段ら同世代と競い合い、渡辺明前竜王を筆頭に新世代の猛追を受けながら、トップを守ってきた。

 永世七冠達成がかかる竜王挑戦は、7年ぶり3度目だった。

 今年は3冠で始まり、20代棋士に2タイトルを奪われるなど、年齢による衰えもささやかれる中で、チャンスをたぐり寄せた。

 「今回が最後かもしれないという気持ちで臨んだ」という。それほど、若手の台頭は著しい。

 29連勝の記録をつくった藤井聡太四段らの活躍で、今後も多くの才能が棋界を目指すに違いない。

 羽生さんの歩みは、インターネットやパソコンの普及と重なる。

 ネット観戦やネット対局がファンの裾野を広げ、パソコンを用いたAI将棋の進化が、新たな戦術を可能にした。羽生さんもまた積極的に活用してきた1人だ。

 一方で、昨年は将棋ソフト不正使用疑惑でプロ棋士が出場停止処分となり、後に誤りと判明するなど、思わぬ事態も起きている。

 今春、公の場で初めて将棋ソフトがタイトル保持者を破った。AIが人間を超えようとする時代にこそ、肉体と心を持つ棋士による勝負が一層輝きを増すだろう。

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