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氷山の一角

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「写真っていうのは水面に出ている氷山の一角みたいなもんなんです。沈んだ下に何があるのかっていうのに人はうたれる」。道内で上映中の映画「写真甲子園」で、本人役で出演する写真家立木義浩さんは強調する▼この写真は水面下にどんな思いがあるのだろうか。首都圏に本社を置く新聞社や通信社、放送各社が加盟する東京写真記者協会は、本年度の報道写真最優秀賞に東京新聞沢田将人記者の「沖縄の視線」を選んだ▼沖縄全戦没者追悼式で献花に向かう安倍晋三首相を、翁長雄志知事や子どもたちが見詰める写真だ。厳しい目、不信感あふれる目、何かを訴える目。沖縄が抱える怒りと悲鳴が伝わってくる▼国土面積の0・6%にすぎない沖縄県には、全国の米軍専用施設の約7割が集中する。厳しい視線は安倍首相だけではなく、過大な基地負担を押しつける県外にも向けられているように見える▼太平洋戦争で本土防衛の「捨て石」とされた沖縄では、現在も民意を顧みず米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事が進む。戦争の傷はいまだに癒やされていないのだ▼沖縄の痛みを和らげるため、今私たちにできることは少ないかもしれない。だが、その現状に関心を持ち、痛みに寄り添うことはできるはずだ。きょうは、太平洋戦争開戦の日。機会があれば「沖縄の視線」を見てほしい。そして水面下の声に耳を傾けてほしい。2017・12・8

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