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受信料合憲判決 公共放送論じる契機に

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 NHKが受信契約を拒む男性に受信料の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁大法廷は、テレビを持つ人にNHKとの受信契約締結を義務付けた放送法の規定を合憲とする初の判断を示した。

 男性側が、規定は契約の自由を侵害し憲法違反と主張したのに対し、最高裁は、国民の知る権利の充足などに寄与するために必要な仕組みと結論づけた。

 受信料制度が、国や特定の団体などによる影響を防ぐための財政的基盤と判断したのだろう。

 だからといって、NHKが法的措置を多用して受信料を強硬に徴収すれば、反発を招くだけだ。

 受信料制度とは本来、視聴者との信頼関係に基づいていることをNHKは忘れてはならない。

 根底には、独立性と多様性を備えた公共放送を支えるコストとして、見ても見なくても、受信料を任意で支払うという理念がある。

 NHKは、質の高い番組作りに取り組むと同時に、丁寧に受信料制度の意義を説明し、国民の理解を得る努力が求められる。

 そもそも、NHKが法的手段に踏み切ったのは、相次ぐ不祥事で受信料不払いが急増したためだ。

 2006年から、「公平な負担」を理由に、不払い世帯を対象に簡裁への支払いの督促を申し立て、その後、未契約世帯などへの訴訟も開始した。

 NHKの側に原因があるにもかかわらず、強制的な手法に訴えたことは、視聴者との信頼関係を傷つけたのではないか。

 インターネットが急速に普及した現在は、若い世代を中心にテレビを見ない人も増えた。

 NHKは新しい時代の公共放送のあり方や将来像を詰めることなく、関連事業を広げて組織を肥大化させてきた。

 これがコスト意識の低さや不祥事の温床となったと言える。

 さらに、NHKは予算が国会で承認を受け、放送内容を巡って、政府・与党の介入を招きやすい。真摯(しんし)に反省してもらいたい。

 多くの国で公共放送の受信料は義務化され、罰則を設けている国も少なくない。

 これに対し、むしろNHKの受信料は、強制力なしで国民の自主性に支えられているところに価値を見いだすべきだろう。

 視聴者の側も、主体的に参加する意識が欠かせない。

 公共放送のあるべき姿や、受信料で制作するに値する番組について、視聴者がもっと声を上げ、社会全体で議論する必要がある。

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