PR
PR

増える男性介護職員 男女 役割分担で連携 力仕事で頼りに 「同性介護」に壁

 介護を必要とする高齢者の増加に伴い、介護職として働く人が増えている。介護施設などでは従来、女性介護職員が大半だったが、近年は男性介護職員の割合が少しずつ高まっている=グラフ=。力仕事なども期待される一方、利用者と同じ性のスタッフが介護(介助)する同性介護の原則や女性が多い職場での人間関係、待遇面での不安もある。男性介護職員の本音や現状を探った。

■力仕事で頼りに/「同性介護」に壁

 「夜勤もあり、呼び出しがあればすぐに駆けつけないといけない。力仕事では女性介護職員から頼りにされました」

 札幌市内の介護老人保健施設(老健)で介護職員として2010年から約6年間働き、現在は同市内のデイサービス施設に勤務する介護福祉士矢吹信人さん(27)はこう振り返る。

 老健の職員は当時30人でうち女性26人、男性4人。利用者をベッドから車いすなどに移す介助や力仕事も多く「体重が比較的重い人や、背が高い人など、小柄な女性が身体介助するのは大変」という。

 男性の特長を生かした仕事も期待される一方、男性介護職員が直面する課題がある。「同性介護」だ。一般的に、施設では女性利用者は女性介護職員、男性利用者は男性介護職員が介護するのが原則とされる。特に入浴・排泄(はいせつ)介助などでは、女性利用者が男性職員の介助を敬遠するケースがある。男性利用者は女性職員への拒否反応は比較的少ないという。

 やはり入浴・排泄介助の時、女性利用者から拒否されたことがあるという矢吹さんは、利用者の希望には「周りの女性介護職に頼んで代わってもらうなど臨機応変な対応が必要」と強調する。

 厚生労働省によると、介護保険施設の入所者は、男性22・6%、女性77・4%(2016年9月末時点)。介護施設入所者は平均寿命が長い女性の割合が高い。

 軽費老人ホーム「サンハイム」(旭川市)でも入居者55人中、女性は48人。職員は隣接するデイサービスと合わせて女性12人、男性4人だ。佐々木弦副施設長(44)は「一般論として、女性介護職員の方が、男女双方に対応しやすい点で配置がしやすい面がある」と話す。

 一方で佐々木副施設長は、工夫をすることで同性介護の課題は克服できると指摘する。たとえば同施設では、女性利用者の入浴介助では、体を洗い、お風呂からあがって下着を着るまでの介助は女性職員が行い、着衣や、髪の毛を乾かしたり水分補給をしたりといった介助は男性職員が担う。このように介助を分担することで、入浴や排泄も男女双方が関われるという。「施設内でのレクリエーションでも喫茶形式のものは女性職員が中心、運動系は男性職員が中心に行うなど、男女職員がうまく働けるやり方を探っている」(佐々木さん)

 女性が多い職場での人間関係で戸惑う男性介護職員もいる。札幌市内の介護療養型医療施設に勤める男性介護福祉士(29)は「仲の良い女性職員同士がグループをつくり、もめ事が起きることがある」と話す。

 男性介護福祉士が受け持つフロアでは職員十数人のうち男性は2人。女性介護職のグループ間で仕事をめぐり意見が合わないことなどがあり、男性介護福祉士は「『まあまあ』と間を取り持ち、なだめる役回り」。

 人数が少ない男性介護職は現場で孤立しがちでもある。札幌市内の有料老人ホーム管理担当の森田勇一さん(43)は昨年、他の介護施設や病院関係者ら約10人と、介護・医療・福祉職として働く人たちが情報交換をしたり勉強会を開く連絡会を立ち上げた。男女の隔てなく参加を呼び掛けるが、森田さんは「職場で少数で、他の職員とつながりをもちにくいこともある男性介護職にとって(施設や業種を超えた)横の連携は大切」と強調する。(桜井則彦)

残り:1618文字/全文:3142文字
全文はログインまたはお申し込みするとお読みいただけます。
どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る