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<洞爺湖 酪農大と深まる交流>上 ウチダザリガニ、進む駆除

 10月下旬の洞爺湖。胆振管内洞爺湖町の市民団体「UWクリーンレイク洞爺湖」の室田欣弘(よしひろ)代表(50)は、洞爺湖温泉街近くの約20メートル沖にボートを出し、前日から湖底に仕掛けていた長さ60センチの筒状の籠わなを引き揚げた。中には体長2、3センチのエビが数匹。在来種のスジエビだ。室田さんは「以前はウチダザリガニだらけだった。ほんの一部だけど生態系回復の兆しが見えてきた」と笑顔を見せた。

■専門家が助言

 自動車整備工場を営む室田さんが、市民団体を立ち上げて、外来種のウチダザリガニ駆除を始めたのは9年前。洞爺湖で2005年に確認されたウチダザリガニは、在来種のニホンザリガニを捕食するなど、従来の生態系を壊してしまう。知人が湖底で撮影したウチダザリガニの写真を見て、「きれいだと思っていた湖が、水中は汚染されている」とショックを受けたのがきっかけだった。

 しかし、室田さんは自然保護に関して全くの素人。潜水免許を取得して湖に潜り、手づかみで駆除を始めたが「1日潜って100匹が限界だった」。そんな時、洞爺湖でウチダザリガニの生態調査を行っていた酪農学園大(江別市)の吉田剛司教授(野生動物保護管理学)と出会った。

 「籠わなを使えば湖の広い範囲で駆除ができる」「夜行性だから昼に設置して翌日引き揚げよう」。吉田教授は専門的な見地から助言。さらに、吉田教授と学生たちも室田さんと合同で駆除に乗り出し、多い時には1日で約600匹を捕まえることができた。

■廃校を拠点化

 環境省や地元自治体も駆除に取り組んでいることもあり、ウチダザリガニは減少傾向にある。籠わなにはスジエビのほか、当初はほとんど見ることがなかったウキゴリやウグイなど在来種の魚も入るようになった。だが、吉田教授は「駆除をやめればウチダザリガニの生息域が広がり、周辺河川に進出する恐れがある」と警戒を解かない。

 大学にとって洞爺湖は、ウチダザリガニだけでなく、エゾシカの食害が深刻化している中島、環境変化に影響を受けやすい湖の水質など、調査研究対象があふれている。しかし、調査に使う大量の機材の保管や、学生の宿泊場所の確保が課題だった。

 ザリガニ駆除をきっかけに、酪農学園大と洞爺湖町は09年、地域総合交流協定を締結。翌10年から、大学は廃校となった旧成香(なるか)小を町から無償で借り、研究拠点「成香教育研究センター」として活用する。室田代表と吉田教授の出会いは、同大との地域ぐるみのつながりに発展していった。(伊達支局の綱島康之が担当し、3回連載します)

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