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ロヒンギャ問題 スー・チー氏は行動を

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 ミャンマーでイスラム教徒少数民族ロヒンギャが迫害され、大量の難民となって隣国バングラデシュに逃れている。

 8月下旬以降、その数は60万を超え、ミャンマーに住むロヒンギャの半数以上が国外に逃れた。短期間で札幌市の人口の3分の1近くが流出したと考えると、事の重大さが分かる。

 難民キャンプでは食料、医薬品から心のケアまであらゆる支援が不足している。日本を含めた国際社会の協力が不可欠だ。

 ミャンマーとバングラデシュは難民の帰還に関する合意文書に署名した。だが、具体的な手続きは決まっておらず、実際に帰還が進むかどうかは不透明だ。

 この問題では、実質的な政権トップで、ノーベル平和賞受賞者のアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の及び腰が目立つ。

 多くの人の命が脅かされ、人権が踏みにじられている。現実から目をそらすことなく、事態の収拾に当たってほしい。

 直接の原因はロヒンギャの武装勢力が警察施設を襲撃したことだ。これに対して治安部隊が過剰な掃討作戦を行い、銃乱射、焼き打ち、性暴力も報告されている。

 先に来日したグランディ国連難民高等弁務官は「1990年代以降で最も深刻な難民危機」と表現した。ティラーソン米国務長官も「民族浄化に等しい」と、軍などを厳しく非難する。

 にもかかわらず、スー・チー氏に目立った動きはみられない。

 文民政権が発足して2年足らず。軍政下にできた憲法は、国防や治安の権限は軍にあると定める。

 スー・チー氏が軍に配慮し、この深刻な事態を見過ごしているのだとしたら、真の民主化は望めない。国際社会の後押しを受けながら、軍に対して暴力停止を徹底させる必要がある。

 帰還を巡っては難民の安全確保が大前提である。難民たちはミャンマーへの強制的な帰還を恐れているという。

 ミャンマーは仏教徒が9割を占める。ロヒンギャは「不法移民」とみなされ、国籍すら認められていない。国内世論もこの問題には冷淡だ。こうした差別構造を放置したままでは、帰還は進まない。

 一連の混乱の直前、アナン元国連事務総長をトップにしたミャンマー政府の諮問委員会が、ロヒンギャに国籍を与えるなどの人権状況の改善を勧告している。

 勧告の実施を含め、スー・チー氏のやるべきことは多い。

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