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野党質問の削減 疑惑封じの意図隠せぬ

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 林芳正文部科学相はきのう、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を正式に認可した。

 異例の特区認定を巡り、行政の公正がゆがめられたのではないかという国民の疑念を積み残したままでの、見切り発車である。

 解せないのは、その疑いを晴らす場とするべき国会審議について与党側が、野党の質問時間の削減を押し通したことだ。

 与党議員の質疑を確保するという名目だが、審議時間は野党側の主張より短時間に抑え込んだ。

 これでは「疑惑封じ」と取られても仕方あるまい。安倍晋三首相が繰り返してきた「丁寧な説明」の約束はどこへ消えたのか。

 国会で野党の追及に進んで応じてこそ、全国民の負託に応える道だろう。政府・与党は民意軽視の国会運営を改めるべきだ。

 加計学園問題を審議する衆院文部科学委員会の質問時間について与党側は当初、野党8与党2としてきた従来の配分を変え、与野党5対5にすると主張した。

 審議時間は野党が7時間を求めたのに対し、3時間を提案。この主張が通れば野党の質問は第1党の立憲民主党で34分、社民党にいたっては1分となっていた。

 結局、審議時間4時間、与党1に対し野党2の配分とすることで折り合ったものの、野党の質問時間自体は圧縮された。

 与党の質疑時間が必要なら、野党の時間を維持した上で審議全体を延長すれば済んだはずだ。審議自体は短縮し、野党の時間を奪うというのでは筋が通るまい。

 そもそも内閣提出の法案や予算案は与党に事前に説明され、了承されている。野党に多くの時間が配分されてきたのはこのためだ。

 従来の野党8与党2の配分は民主党政権時代、野党だった自民党の要求で定着した経緯もある。

 日本と同じ議院内閣制を取るドイツや英国でも質問機会は野党に多く配分される。大統領制のフランスにも、法案の審議時間の最低60%を野党に与える規則がある。

 政治が、すべての国民の要請や疑問に応えることを目指すとすれば、合理的な仕組みだろう。

 ところが今回、首相や菅義偉官房長官をはじめとする官邸が野党質問の削減を主導したという。

 内閣は憲法66条の規定で、野党を含む国会全体に対して責任を負う。首相がその立場を自覚しているのか、疑わざるを得ない。

 「謙虚」な政権運営を掲げるなら自らの指示を取り下げ、野党の質問に正面から答えるべきだ。

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