PR
PR

藤井四段が笑顔を見せたのは 中川明紀(東京写真課)

 東京都内は梅雨盛りの6月、1人の中学生に世間が注目していました。将棋棋士の藤井聡太四段です。史上最年少のプロ入り以来、破竹の連勝を重ね、「ひふみん」こと加藤一二三九段が持つ歴代最多連勝記録の更新がかかっていました。偉大な記録に向かう藤井四段の戦いぶりを伝えるべく、私も注目の一戦を取材しました。

 6月26日夕、29連勝をかけた一戦が行われた東京・渋谷区の将棋会館前は熱気を帯びていました。沿道には多くの将棋ファンが駆けつけ、ワイドショーも生中継。報道陣は軽く100人を超え、その渦中にいた私も、事の大きさを改めて実感しました。

 将棋取材で入室(撮影)が許可されるのは初手や、対局後の感想戦に限られています。対局中、報道陣は別フロアの控室で戦況を見守ります。

 「藤井四段劣勢か」「神の一手で優勢に転じる」「藤井四段勝利か」-将棋の知識が乏しい私は、スマホを頼りにネット上に踊る見出しを食い入るように見つめ、記録達成の瞬間を待っていました

 すっかり夜も更けた午後9時すぎ、藤井四段の勝利が発表されると、報道陣が一気にざわつき始めました。いよいよ入室です。いやが応にも緊張感が高まります。極端に言えば、100m走に挑む前のアスリートのような状態です。なぜなら、どのカメラマンもより良い撮影位置につきたいのです。

 連盟に指定された順番で、カメラマンが対局室に入室し始めます。しかし、入室順が決まっていようとも「われ先に」となるのがカメラマンの性(さが)。結局、各社カメラマンはなだれ込むように部屋に入り、対局を終えた2人を取り囲みました。通勤ラッシュ時の電車の中のような熱気が部屋を包み込みました。

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
道新おためし読みアンケート
ページの先頭へ戻る