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あなたがいてくれたら

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2歳のときに広島で被爆したサダコが亡くなったのは、終戦から10年後の1955年。闘病中も生きる望みを失わず、折り鶴を作り続けた。「千羽になったらきっと元気になる」と信じて▼米国の絵本作家エリナー・コアさんの「つる サダコの願い」のあらすじだ。原爆症で亡くなった佐々木禎子さんの実話を元に創作された。折り鶴が平和の象徴となったのは、この物語の影響とも言われる▼今年3月、米国の国連本部で開かれた核兵器禁止条約制定交渉会議では、条約に反対して不参加だった日本代表の席にも折り鶴が置かれた。翼の部分には「wish you were here」(あなたがここにいてくれたら)と記されていた▼この折り鶴を置いた国際非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が、今年のノーベル平和賞に選ばれた。日本の被爆者らと連携し核の非人道性を訴え、核兵器を非合法化する条約制定に尽力したことが高く評価された▼ところが米国の核の傘を頼む日本は、受賞を祝福する首相談話さえ出していない。安全保障を巡る日本の立場も分からなくはない。しかし、被爆者たちが自らの命を削りながら、制定を目指した条約である▼唯一の戦争被爆国として、安倍晋三首相は折り鶴のメッセージをどう受け止めているのか。日本が条約批准に踏み出すまでに、あと何羽の折り鶴が必要なのだろう。2017・10・12

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